前回に引き続き、開業広告について説明します。今回は、規制の対象となる広告媒体の詳細と、最も集患に効果的な開業広告を見ていきます。

「規制対象」となる各種広告媒体の特徴とは?

まずは、広告規制の対象として頭に入れておきたい広告媒体を紹介します。

 

①駅構内のポスター

②駅看板

③電車内の広告(中吊り広告、ドア横ステッカー、窓上ポスターなど)

④バスの広告(車内外、アナウンスなど)

⑤野立て看板

⑥駐車場看板

⑦電柱広告

⑧電話帳広告

⑨新聞の折り込みチラシ

⑩ポスティング

 

順に説明していきましょう。

 

①駅構内のポスター

 

掲載期間が一定期間で、しかも短いため、歯科医院の存在を継続して知らせる広告としては不向きと思われます。開業時の臨時の広告として、目立つ場所に掲示して利用する場合は、効果を期待できるでしょう。

 

②駅看板

 

多くの人に歯科医院の名前を知ってもらうには非常に効果的です。駅のホームに立つと、たくさんの看板が目に入ってくるでしょう。ただ、その分広告料がかなり高くなることは覚悟しなければなりません。

 

③電車内の広告

 

JRなどの主要鉄道の場合、広告料がかなり高額になります。しかも掲載は短期間限定。したがって、歯科医院広告には適さないでしょう(審美歯科を除く。審美歯科の場合は有効なこともあります)。その点、ローカル路線の場合は広告料も安くなり、地域との密着度が高く、広告効果は高くなります。

 

④バスの広告

 

電車の広告に比べると地域への密着度が高く、診療圏内での広告は効果があります。バス停近くにある歯科医院であれば、車内外の広告ばかりでなく、バスアナウンスで効果を上げている場合も少なくありません。

 

⑤野立て看板

 

街路や田畑などに掲げる看板で、立地のよい場所を選べば大きな効果が望めます。しかし、立地によっては維持費が毎月数万円単位でかかります。

 

⑥駐車場看板

 

歯科医院の近くにあるタイムパーキングなどと提携して「○○歯科・患者さま用駐車場」などの看板を立てる手もあります。駐車場があれば集患が期待でき、そのうえ広告効果も期待できるので二重のメリットがあります。

 

⑦電柱広告

 

東京電力やNTTの電柱を利用した広告には、電柱に巻いてある巻き広告と、看板のように電柱に張り出す形の掛け広告があります。利用料金は低額(目安として月額2000円~)ですが、デザイン制限があるため掲載内容も限られます。とはいえ、道案内として効果があることも見逃せません。

 

⑧電話帳広告

 

いわゆるタウンページといわれるもの。サイズにもよりますが、掲載料はやや高額。それでも一定の効果は期待できます。ただ、申込時期に制約があり、開業時期によっては利用できない場合があります。

 

最近は、紙ベースのタウンページでなく、インターネット版のタウンページを選択する場合も多くなっています。こちらのほうが利用料も安く、いつでも申し込みができるので、人気が出ているようです。

 

⑨新聞の折り込みチラシ

 

新規開業の場合、広告効果としては即効性があります。新聞購読者が少なくなり、以前に比べると効果は薄まったとはいえ、必ず行うべきでしょう。

 

予算が許せばですが、回数は1回ではなく、開業1~2週間前と開業直前など、最低でも2回は行いたいものです。朝日新聞や読売新聞、産経新聞、毎日新聞、日経新聞、地域の有力紙を基本として、なるべく広い範囲(歯科医院からおおよそ3~5Km圏内が目安)への配布を目指しましょう。

 

ただ、診療圏は円形ではなく、JRや私鉄の線路、交通量の多い国道、河川などがあると大きな障害となります。自院のターゲットとする地域はどこか、慎重に考慮してください。また、折り込みチラシは開業後しばらく経ってからも、医院の求人広告を兼ねて職員募集時に利用するなどの使い方もできます。

 

レイアウトは業者に依頼することになりますが、目立つように「新規開業」という文字を記載するのは必須です。そのほかは、集患につながるような情報を規制の範囲内で盛り込むことになりますが、奇抜すぎるデザインなどを選ばず、歯科医院のイメージに合致するものを考えましょう。

 

⑩ポスティング

 

各住戸に直接チラシを配布するという方法です。これも開業時には一番即効性があり、欠かせない広告といえます。当たり前のことですが、作成の際、掲載内容のミスのチェックは厳重に行ってください。

 

掲載内容には、診療時間、休診日、地図等の基本的情報は必須ですが、チラシと同じく「新規開業」という文字と、「内覧会」の日時を忘れず目立つように入れましょう。また、ホームページのアドレスも掲載してください。

 

掲載する案内図には、目印になるお店や建物を記載し、シンプルでわかりやすい地図にしましょう。ポスティングする範囲は、最低でも半径1Km圏内を押さえたいところです。

地域の人と触れ合える「内覧会」は必ず実施する

ここまで挙げてきた開業広告のうち、最も集患に効果的であり、必ずやったほうがよいのは折り込みチラシとポスティング。さらにホームページ作成です。それに加えて、広告効果が高いのは「内覧会」です。

 

内覧会とは、オープン前に歯科医院をその地域の一般の方に公開し、自由に院内を見てもらったり、院長やスタッフの人柄に触れてもらったりして、集患・増患につなげるための催しです。地域の方々に歯科医院の存在を知ってもらう絶好の機会なので、実施はもはや常識といってよいでしょう。

 

すでに開業した歯科医院の例を見ても、内覧会を行ったところは実際によい結果が出ています。多くの場合、内覧会は3日間程度実施しますが、その間に1000人近い内覧者があったという歯科医院もあります。その歯科医院は、開業月から早くも400万円台の収入を上げていました。また激戦区の23区の開業でも、内覧会を行った歯科医院はよい結果を出しています。

 

内覧会は、通常専門業者にプロデュースを依頼するので、業者に支払う費用が発生しますが、費用対効果は高いといえるでしょう。ただ、内覧会業者の中には「にわか業者」もいるので、実績のある業者を厳選しなければなりません。

本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『一生稼げる歯科医院開業読本』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

一生稼げる歯科医院開業読本

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松本 泰世

幻冬舎メディアコンサルティング

歯科医師とほかの診療科の医師との大きな違いは、近い将来いずれは独立開業を迫られることになるという点です。開業準備は早ければ早い方が有利になります。しかし、具体的に何から手を付ければよいのかが分からずに開業準備を…

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