絶対に避けるべき「虚偽」「比較」「誇大」広告
開業の際、新しい歯科医院の存在を地域の方に認知してもらうために、開業の広告を打つのは必須であり、開業の成否を左右する重要事項です。
広告の成功のポイントは、開業前後のタイミングで集中して広告することです。内覧会、折り込みチラシ、ポスティング、ホームページを、この開業時期に集中してぶつけるのです。この4つはすべて実行してください。スタートダッシュが大事なので、1年目の広告費はけちってはいけません。1年目に頑張れば、2年目の広告宣伝費はかなり少なくなります。
ただし、医療機関の広告については医療法の広告規制を受けるので、医療専門の広告業者や看板制作業者の力を借りて、法に触れない開業チラシや看板を作るように気をつけましょう。
特に次の禁止規定に触れる広告は絶対避けなければなりません。
①虚偽広告
②比較広告
③誇大広告
こうした広告規制に違反した場合には罰則が設けられているので、特に注意してください。なお、医療法の規制は、すべての広告に適用されるわけではないということも、覚えておきましょう。医療法で広告可能とされる事項を掲載することは問題ありません。また、医療法で「広告と見なされないもの」は、広告規制の対象になりません。
少々わかりづらい部分ですが、ここで広告可能事項の基本的な考え方についてご説明しておきたいと思います。
規制の見直し前は、限定的に認められた項目以外は原則広告禁止でしたが、規制見直し後もこの基本的な考えは引き続き堅持しつつ、患者さんに正確な情報を伝えるため、客観性・正確性を確保できる内容については広告できることになりました。
【広告とみなされないもの(広告規制の対象とならないので活用しましょう)】
●院内掲示
●院内で配布するパンフレット
●学術論文や発表
●新聞や雑誌で記事として取り上げられたもの(有料のPR記事は×)
●求人広告
●ホームページ(条件付き)
●患者さんに対する年賀状 など
【広告とみなされるもの(広告規制の対象となるので内容に注意してください)】
●折り込みチラシ
●ポスティング
●医院前サイン
●看板・新聞、雑誌などに掲載したPR記事
●インターネットのバナー広告
●不特定多数の者に対するDM
●テレビコマーシャル など
広告規制の対象外だったホームページにも規制が・・・
ここからは、特に重要なホームページの条件をご説明しましょう。
ホームページについては、以前だと広告規制の対象外で、記載内容については自由に書くことができましたが、美容医療サービス業等のホームページ記載内容から多くのトラブルが生ずることとなり、ホームページに対し新たな規制ができました。とはいえ、ホームページは有効な広告手段ですので、新しい法規制に触れることのないように気をつけて、大いに活用しましょう。
新しい規制では、誘因性、特定性、認知性のいずれの要件も満たす場合は規制対象となる広告として取り扱われることになりました。具体的にいうと、バナー広告やリスティング広告からホームページにアクセスした場合などは、規制を受けることになります。
また、新たにホームページに掲載すべきでない事項、掲載すべき事項が定められました。
【掲載すべきでない事項(一部抜粋)】
簡単にいうと、内容が嘘か本当か客観的に確認できない事項です。
①内容が虚偽、または客観的事実であることを証明できないこと
<具体例>
●加工修正した術前術後の写真
●「絶対安全な手術」「必ず成功します」「1日ですべての治療が終了」(定期的な処置が必要な場合)など客観性がない表現
②ほかとの比較により自らの優良性を示そうとするもの
<具体例>
●「日本一」「最高」「日本有数の実績」など
③内容が誇大なものまたは医療機関にとって都合がよい情報等の過度な強調
<具体例>
●○○協会認定施設(活動実態がない団体の認定)
●患者体験談(よい感想のみを意図的に取捨選択して掲載)など
【掲載すべき事項】
自由診療を行う医療機関については、ホームページに掲載すべき事項が定められました。自由診療を行わない歯科医院はないと思いますので、こちらの事項はすべての歯科医院に適用されます。
①自由診療の通常必要とされる治療内容、可能な限り費用に関する事項、治療期間、回数を掲載し、可能な限りわかりやすく示すこと
②自由診療の利点や長所のみを強調するのではなく、治療のリスクや副作用に関しても十分な情報を提供すること