採用にあたっては必ず「試用期間」を設ける
最近は、特に歯科衛生士の募集で人が集まらず、苦労する歯科医院が増えています。
歯科衛生士はほとんどが女性ですが、結婚して辞めてしまう人が多く、常に人材不足状態です。そのため、歯科衛生士の確保に苦慮するあまり、何らかの問題がある人でも雇ってしまう歯科医院もあります。しかしながら、そういった人を採用すると、やはり後々になって苦労することになりがちです。
ある歯科医院では、「開業までにスタッフがどうしてもあと1人足りない」ということで、採用するかどうか躊躇していた人材を雇うことにしました。その結果、やはりそのスタッフが問題を起こし、歯科医院内の雰囲気は悪くなり、院長先生は気の重い日々を送っていました。
ただ、幸い問題のスタッフは「試用期間」中に退職したため、事なきを得ました。前にもお話ししたように、人を採用すると辞めさせることは大変難しいので、“とりあえず”で採用するのは避けなければなりません。
採用にあたっては必ず「試用期間」を設け、その間に見極めてから本採用するかどうか決めましょう。法律上は試用期間中であっても自由に解雇することは認められていませんが、本採用後よりも比較的簡単に辞めさせることができますし、試用期間満了で辞めてもらうことは可能です。
「悪い条件」がある場合は面接できちんと話しておく
面接の際は、応募者に質問するだけでなく、院長の側から採用条件を提示することにもなります。わかりやすく丁寧に説明し、最後に重要事項を再確認することを忘れないでください。採用してから、スタッフに「こんなはずではなかった!」と文句をいわれてはたまらないからです。
いくら人材の確保を焦っていたとしても、ほかの歯科医院と比べて悪い条件と思われることがあるなら、きちんと話しておきましょう。肝心なのは、いいにくいことをなるべく早くいっておくこと。面接時にいえないことは、後になってもいえません。なお、スタッフの給与水準は下記図表のとおりです。
[図表]平均的な歯科医院スタッフの給与水準
採用が決定したら、早めに通知、電話などでお知らせします。それは別段難しいことではありませんが、注意しておきたいのが不採用者への通知です。不採用の場合の通知は、採用通知よりも何倍も気を使って作成してください。応募者で比較的医院に近い方は、もしかすると将来の患者さんになる可能性もあります。対応が悪いと、悪い噂を立てられる可能性もあるので、丁重に対応しましょう。