ファンドマネージャーに関する情報収集は至難の技!?
買うべき投資信託の2つ目の条件は、ファンドマネージャーの腕が良いことです。
キャッシュポジションをとれるファンドであっても、ファンドマネージャーの腕が悪ければ運用成績は上がりません。それは漁場が良い状態なのに魚が捕れず、天候の変化が読めずに、港に戻るタイミングを逸してしまう船長のようです。
優秀なファンドマネージャーは、相場が下がるときに株を売って現金化し、下げ相場の影響を最小限に食い止めます。そして相場が上昇する局面では有望な銘柄に思い切って投資をします。投資資金を信じて託すわけですから、優秀なマネージャーに運用してもらって、可能な限り損失を抑え、利益を得たいと思うのは当然のことです。
とはいえファンドマネージャーの腕の良し悪しを知ることは容易ではありません。それどころか、個人投資家は誰が投資信託の資金を運用しているのかさえ知らないことがほとんどです。情報が公開されていないことが多いためです。
やはり「運用成績」が見極めの手がかりに
かつてはファンドマネージャーが注目を集め、運用会社が積極的に情報公開していた時期もありました。
中でも特に目立っていたのが、1994年に設定された日本株を投資対象とした、あるファンドです。O氏というカリスマファンドマネージャーが運用するファンドとして人気を集め、その運用会社の旗艦ファンドに育ちました。しかしO氏が退職すると、そのファンドは別のファンドマネージャーに運用が引き継がれ、それ以来、誰が運用しているのかはわかりません。
今でも独立系と呼ばれる運用会社ではファンドマネージャーの名前や顔写真を公表している例が多いのですが、証券会社や銀行系列に属する大半の運用会社はファンドマネージャーの名前を公表していません。そのため腕の良いファンドマネージャーの〝追っかけ〟は不可能です。
ですから、特定のファンドマネージャーの実績を知るのは簡単ではありません。投資信託の過去の運用実績が手掛かりのひとつです。基準価額がベンチマークに沿うように上下しているものは、運用がうまいとはいえません。
また、過去の実績が良い商品が見つかったとしても、ファンドマネージャーが変わってしまって成績が落ちることもあります。私は定期的に運用会社に問い合わせ、ファンドマネージャーが変わっていないかなどを確認するようにしていますが、個人投資家には難しいことも事実です。