キャッシュポジションをとれることが目論見書に明記
この投資信託も、いわゆるベンチマークを設定しない絶対収益を目指す投資信託であり、株式型投資信託の買うべき3つの条件を揃えたファンドです。ファンドマネージャーの判断で投資信託の中身を現金化でき、ファンドマネージャーの腕も確かです。
目論見書にもキャッシュポジションをとれることが次のように明記されています。
「株式の実質組入比率は、原則として信託財産の純資産総額の50%を超えるものとします」
「長期的な視野で現金比率をコントロールすることも含めて、プロフェッショナルに資産運用を任せる『絶対収益型』の投資信託」
次に、ファンドマネージャーである立田博司さんの実績を見てみましょう。立田さんは国内生命保険会社の運用チームで国内債券、米国債券、米国株式運用を経験した後、1997年にマーキュリー投信投資顧問(現ブラックロック・ジャパン)に移籍し、約10年間日本の中小型株の運用を行っていました。
特に、2000年以降はチームヘッドとして運用を行った「ブラックロック日本小型株オープン」は一時基準価額が5万円を超えるなど、突出した成果を上げています。
2001年には、Forbes誌における「20 of the world’s Best Fund Managers」の1人に選ばれました。また2007年にはLipper社から「日本中小型株部門で10年間のBest Fund」を受賞するなど実績は十分です。集中投資をしているかについては組入銘柄が24銘柄(2016年1月末現在)で、まさに集中投資です。
明確な「長期保有してもらおう」という姿勢
買うべき3つの条件以外に、この投資信託は「株式で運用するが、リスクを抑えながら長期的に保有したい」という投資家のニーズに応えるための仕組みがあります。それは次の3つです。
①株式の投資対象を日本に限定せず、日本を含めた世界にしている長期的に株式で運用する場合、日本株市場が長期的に低迷するなら、海外の株式に投資もできるルールになっています。
②相場が暴落するときなどのために株価指数先物を売ってヘッジをかけられる株式を売って50%まで現金比率を高めても、相場が暴落するときは目減りしてしまう可能性があります。そんなとき日経平均などの株価指数を売ってリスクヘッジする選択肢を持っています。
③外貨資産に投資をしていて大きく円高に為替が振れそうなとき、円ベースで資産が目減りしないよう為替取引でヘッジすることができる。海外の株に投資をしていると為替リスクをとることになります。そんなとき極端に円高になれば、せっかく株価が上昇しても為替で損をするかもしれません。大きく円高に振れそうなときは、円ヘッジという手法で為替の変動を抑える取引もできるようになっています。
この投資信託は株式で運用しながら、極力リスク(振れ幅)を抑え安定的に運用することを目指しています。リスク(振れ幅)を数値化した標準偏差は2016年2月末までの1年間で見ると国内株式(TOPIX)が約23%に対して、このファンドは約12%と、同じ日本株への投資でもリスク(振れ幅)を抑えた運用がされています。
株価がどんどん上がって、その企業の本質的な価値よりも割高になったら、規律をもって株式を売却していくので、結果として現金の比率が上がり、相場が強いときにリターンが市場平均に負けたりするケースもあります。
その場合は物足りなさを感じるかもしれませんが、逆に相場が下がるときには資産が減りにくく、しかも現金で割安な株式を買えるわけですから、株式で運用しながら振れ幅を抑え、長期的にリターンをとりたい人にはお勧めします。
「絶対的に資産を増やすことを目指し、本当のリスクは資産が減ること」と運用報告書に明記されています。株式で運用しながらも投資家に安心して長期的に保有してもらおうという姿勢を明確に出した、稀な投資信託です。