TOPIX、日経平均の上昇率を大きく上回る投資信託
今回からは、買うべき投資信託の3条件、あるいは2条件を満たした株式で運用する投資信託を紹介します。ここでは日本株と世界株を投資対象とした3本を取り上げてみましょう。
①ザ・2020ビジョン(コモンズ投信)
~凄腕ファンドマネージャーが運用する日本株ファンド
日本株式で運用する投資信託については、ザ・2020ビジョンを紹介します。これまでの連載で解説した買うべき投資信託の3つの条件、①ファンド内でキャッシュポジションをとれるか、②ファンドマネージャーの腕は良いか、③集中投資しているか、以上3点がすべて揃っているファンドです。
このファンドの投資対象は日本株式で、変化し始めた企業、変化にチャレンジする企業を中心に、50銘柄程度への集中投資を行っています。市場の状況によっては、ファンドマネージャーの判断でファンド内株式組入比率を下げ、現金比率を上げることができる特徴も併せ持っています。
2013年12月27日に設定された比較的新しいファンドですが、現在の基準価額は1万4298円(42.98%、2015年6月26日現在)と同期間のTOPIX上昇率30.6%、日経平均上昇率28.42%をいずれも10%以上上回る結果を出しています。
[図表1]ザ・2020ビジョンのチャート
ファンドマネージャーの「交代」には注意が必要
このような絶対収益を追求するファンドにおいては、ファンドマネージャーの腕が重要であると述べてきましたが、ザ・2020ビジョンはどのようなファンドマネージャーが運用しているのでしょうか。
このファンドのファンドマネージャーである糸島孝俊さんは、元三菱UFJ国際投信のファンドマネージャーです。2004年当時に運用されていた日本株アクティブ・ファンド(凄腕)にて最優秀ファンドをダブル受賞(いずれも対象カテゴリーファンド600本以上ある中で1位)。さらに2005年、2007年にも優秀、最優秀ファンドを受賞されるなど、数々の表彰を受けている非常に実績がある方です。
実際に運用されていた日本株アクティブ・ファンドを見てみましょう。運悪く2000年のITバブル崩壊前の株価ピーク時に設定されたファンドです。
2000年から2003年までに相場はマイナス50%ほど大きく下落します。その後上昇し2005年にようやく2000年時の株価に戻すことになりますが、2000年の設定時からの運用パフォーマンスの比較を見てみると、2000年10月末(凄腕の設定日)〜2005年末までの累積リターンが、日経平均は10.81%、TOPIXは19.6%でした。
それに対して同ファンドは113.75%という驚異的なパフォーマンスを上げています。
[図表2]凄腕のチャート
日本株アクティブ・ファンドは、連載第5回で解説したフル投資型のファンドです。ファンド内でキャッシュポジションをとらないファンドであるにもかかわらず、この下げ相場であった期間にも結果を出せたのは、いわゆる凄腕のファンドマネージャーの存在があったからです。
ザ・2020ビジョンは設定間もないファンドですが、実績あるファンドマネージャーが運用している点において、これからのパフォーマンスについても期待したいところです。
ここでは注意点についても挙げておきます。このファンドのパフォーマンスは、ファンドマネージャーの力量に左右される部分が大きいため、ファンドマネージャーが交代することがあれば注意が必要です。投資信託のファンドマネージャーを公表している運用会社は多くありません。
しかし、ザ・2020ビジョンの運用会社であるコモンズ投信は、一般投資家との接点を大切にしており、ホームページにてファンドマネージャーを公表しているので、チェックすることも可能です。
もちろん、将来ファンドマネージャーが交代したとしても、次のファンドマネージャーが優秀であれば問題ないので、定期的にチェックをしたり、運用会社主催のセミナーに参加することをお勧めします。