英国のEU離脱に関連する主なイベント

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

英国のEU離脱については、「今日のヘッドライン3月13日号」でも取り上げています。3月12~14日の採決を受け、注目は今週のEU首脳会議で検討される期間の長さという大枠に変更はありません。今回は、欧州議会選挙の日程の影響などの追加情報を中心にアップデートします。

英国EU離脱の展開:EU首脳会議で期限延長が検討される見込みだが条件付

欧州連合(EU)のバルニエ首席交渉官は2019年3月19日の記者会見で、英国が29日としてきたEUからの離脱時期の延期を求めるならば、21~22日のEU首脳会議前に具体的な計画を示すよう求めました(図表1参照)。

 

[図表1]英国のEU離脱に関連する主なイベント

出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成
出所:各種報道等を参考にピクテ投信投資顧問作成

 

メイ英首相は3月末の離脱期限までにEUと合意した離脱協定案が議会に承認されなければ、長期間の期限延期を求める構えです。バルニエ氏は長期延長を求めるには新しい政治的プロセスの必要性を強調、メイ政権が拒んできたEU関税同盟への残留など抜本的な方針転換や、国民投票の再実施や選挙の予定などが必要との考えを示しました。

どこに注目すべきか:英国EU離脱、EU首脳会議、公示、強硬派

英国のEU離脱については、「今日のヘッドライン3月13日号」でも取り上げています。3月12~14日の採決を受け、注目は今週のEU首脳会議で検討される期間の長さという大枠に変更はありません。今回は、欧州議会選挙の日程の影響などの追加情報を中心にアップデートします。

 

 

EU首脳会議で何が決定されるかを予想することは困難ですが、期限延長を認めるとしても、短期、長期の選択肢があり、EUは両方の可能性を検討している模様です。

 

 

短期の選択肢は6月末頃まで離脱期限を延期する内容と見られます。前提は昨年EUとメイ首相の間で合意した協定案を議会が承認、秩序ある離脱(プランA)を実現させる展開です。ただし次のようなネックもあります。

 

1つ目は、英下院バーカウ議長が2度否決された離脱協定案について同一の内容なら同じ会期中に採決することはできないと声明を出していることです。メイ首相は20日までに何とか協定案の下院承認を得て、EU首脳会議へ臨む方針であっただけに方針変更を迫られています。ただ、バーカウ議長も「絶対にだめ」ということではなく、適切なプロセスを踏めば採決は可能とも述べています。

 

2つ目は、決断の時期を早める必要があることです。仮に英議会での採決が可能となり、6月末迄の期限延長となったとしても、今までのように議論を続ける余裕は無いと思われます。理由は欧州議会の公示が4月だからで、欧州議会選挙に参加せず、離脱かどうかもわからない半端な状況は許容されないという声もあり、時間は限られると見られます。

 

したがって、メイ首相はEU首脳会議後、3月25日からの週に議会との対話、採決の動きが想定されます。

 

長期の選択肢では、2020年まで期限延長を認める内容と見られますが、総選挙か再国民投票実施などの条件がつく可能性があります。仮にそのような条件が付与されると、結局残留となる可能性も現実味を帯びてきます。

 

ところで、3月12日に行われた離脱協定案の可否を巡る採決は賛成242票、反対391票で否決されましたが、背景は与党の離脱強硬派85人の造反によると見られます。離脱強硬派は合意なき離脱さえも視野に入れるほど「離脱」に優先順位を置いています。一方穏健派は合意のうえの離脱を目指しています。両者の違いは、細かな点を除けば、英国がEUと共に歩むべきかのスタンスの違いと見られます。離脱協定案の資料にも英国とEUは離脱後もパートナーであることが強調されています。EUのルールを全て受け入れられないにしてもパートナーであるのが穏健派の立場です。

 

一方、強硬派はEUと将来共に歩むことへの懸念から、離脱ありきを優先する立場と思われます。そうした中で、残留を生み出しかねない長期の期限延長という選択肢が浮上したことで、強硬派の動向が注目されます。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『英国のEU離脱に関連する主なイベント』を参照)。

 

(2019年3月20日)

 

 

梅澤利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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