お金をかせぐ秘訣は「人が喜ぶこと」をすること
◆人が喜ぶことをすると自分ももうかる
お金をかせぐには、いろいろな方法があります。会社員になることも、会社をつくることも、後でお話ししますが株を買うことだって、お金をかせぐ手段です。でもさいしょにおぼえておいてほしいのは、「人が喜ぶことをすると、自分ももうかる」ということです。
たとえばパン屋さん。おいしいパンをつくれば、それだけたくさんのお客さんが買ってくれて、お店は繁盛します。朝からパンを買いにくる人のために、早起きしてパンをつくるのは大変かもしれません。でも、そうやって「人が喜ぶもの」をつくるために一生懸命になるほど、世の中もよくなっていくし、自分だってもうかります。
会社をつくるときも、やっぱり「人が喜ぶこと」をすることが大切です。すると会社は大きくなり、またもうかる。その会社で働く人も増えて、みんなが喜ぶというわけです。
◆悪いことをしてもうかるのは一瞬だけ
逆にいうと、誰かをダマしてもうけようとしても、そうはいきません。昔、エイブラハム・リンカーンというアメリカの大統領が、こんなことをいいました。
「少しの人なら、ずっとダマし続けられる。たくさんの人も、少しのあいだならダマすことができる。でもたくさんの人を、ずっとダマし続けることはできない」。
私も、そのとおりだと思います。テレビで「大金をダマしとった」といって逮捕される人のニュースが流れることがあるでしょう。悪いことをしてもうかるのはほんの一瞬だけ。長くかせぎ続けているのは、みんなが喜ぶことを続けている人や会社だということを、忘れないでくださいね。
世の中は分業といって、自分は得意なものや好きなものをつくる、ほかのものは人につくってもらうというしくみで動いています。お金を通じて、お互いにつくったものを交換するわけです。ですから、だれも欲しがらないものをつくっても交換してもらえず、お金もかせぐことができません。
株式会社のおかげで、世の中は大きく発展してきた
◆危険は小さく、もうけは大きいしくみだから
「株式会社」という名前がついた会社がたくさんあることを知っていますか。みんなのお父さんやお母さんが働いている会社も「〇〇株式会社」が多いんじゃないかな。株式会社とは「みんなから少しずつお金を集めてつくった」会社のことをいいます。会社の仕事がうまくいってお金がもうかったら、さいしょにお金を出してくれた人みんなで、もうけを分け合います。
この株式会社のしくみがとてもいいのは、みんなが少しずつお金を出し合っているので、もし会社の経営がうまくいかず倒産することになっても、損をするのはさいしょにみんながそれぞれ出した少しのお金だけですむということです。自分1人だけで会社をつくり、1人だけで経営をしていたら、会社が倒産したとき、自分だけが大変な損をしてしまうでしょう。
◆株式会社があるから社会が発展してきた
もう1つ、大切なことがあります。
1人ひとりが出すお金は少なくても、たくさんの人がお金を出し合えば、それだけ多くのお金が集まるということです。貯金がない人も、みんなからお金を集められれば会社をはじめられますし、とてもお金のかかる大きな仕事にも、怖がらずにどんどんチャレンジできるようになります。その会社が失敗したって、損が小さくてすむのなら、また新しい会社をつくることができるかもしれません。こうして株式会社のおかげで、世の中は大きく発展してきました。
世界初の株式会社は、ヨーロッパからアジアに香辛料を買いにいくためにつくられた「東インド会社」です。当時は船に乗って長い旅をする必要がありました。しかし船が途中で沈んでしまったら大変な損になります。そこで、みんながお金を出し合って会社をつくる方法が考え出されたのです。