買い物する人全員が必ずおさめる「消費税」
◆税金にはいろいろな種類がある
税金にはさまざまな種類がありますが、「だれが税金を集めるか」「だれが税金をおさめるか」という分け方ができます。
たとえば、国の役所が集める税金は「国税」。地方の役所が集める税金を「地方税」といいます。つまり、「だれが税金を集めるか」によって2種類に分かれているんです。会社で働いている人のお給料にかかるのが「所得税」です。会社がもうけたお金にかかるのは「法人税」。お買い物をすると子どもも必ず払うのが「消費税」です。
このうち、所得税と法人税は「直接税」といわれます。税金を払う人が直接、役所におさめるからです。消費税は「間接税」といいます。みんながコンビニでお菓子を買うときいっしょに消費税も払っていますが、コンビニがいったん税金を預かり、みんなにかわって国に税金をおさめるしくみになっています。
◆消費税なら「取りっぱぐれる」心配がない
2019年に、消費税が8%から10%に上がることが決まっています。子どもだっておさめる消費税を、なぜまた上げるの?と思いませんか。
でも理由があるんです。所得税を上げると「がんばってかせいでも税金にとられちゃうのか……」と、働く人たちのやる気がなくなってしまうかも。会社が払う法人税を高くすると、今度は「法人税の安い国へいくよ」といって日本からにげていく会社も出てきます。これではかえって税金が減ってしまうよね。でも、消費税は買い物する人全員が必ずおさめます。つまり消費税なら取りっぱぐれる心配がない。そんなわけで、消費税がどんどん上がっているんです。
デンマークの消費税はなんと25%。それでも「高い!」とはだれもいわないそうです。デンマークでは、教育費は幼稚園から大学まで無料。病院だって無料です。日本も「高い税金を払ったぶん、国民の生活がラクになっている」ことを実感できたら、みんな喜んで税金を払うかもね。
国民みんなが持っているお金の総額は?
◆毎年50兆円もの大赤字!
いま日本では、1年間で集まる税金が約50兆円あります。これだけあれば何でもできるだろうと思うよね。ところが、国が使うお金は1年間で約97兆円。つまり47兆円も足りない、ということです。税金を倍にしたら足りるかもしれないけど、みんな大反対するに決まっているよね。そこで日本は、足りないぶんを借金してまかなっています。でも、いったいだれから借金しているんだろう?
じつは、きみたちから借金しているんです。日本は「国債」というものを発行して、その多くを銀行や郵便局に買ってもらっています。銀行のお金はそもそもみんなが預けたお金でしたね。つまりきみたちは銀行を通じて、国にお金を貸しているということになるわけです。
◆国はみんなから借金している!
日本は毎年のようにお金を借りて、いまでは全部で1000兆円までふくらんでいます。こんなにたくさんの借金をしている国は世界で日本だけ。だから「日本はこのままでは借金を返せなくなり、つぶれてしまいますよ」と心配している人もいます。
いまのところは、日本はまだまだ豊かです。国は借金だらけでも、国民みんなが持っているお金を集めたら1800兆円もあります。いざとなったらそのお金を国が取り上げれば、借金を返せるだろうと考えられているんです。でも、そんなのはイヤですよね。
私たち大人は一生懸命働いて、税金をおさめます。きみは学校でちゃんと勉強して、これから国はどうしたらいいか、考える力を身につけてくださいね。
日本以外の国は、税金を上手にやりくりして借金をしないですむようにしています。日本よりずっと税金が高い国もあります。たとえば、ドイツの消費税は19%。税金をたくさん集めたうえで「国は税金以上の仕事はしない」というやり方をとったことで、ドイツは見事、無借金になりました。