みんなよりも先に「いい会社」を見つけようとがんばる
◆いい会社の株を安く買い、高く売る
株を買ったり売ったりしてお金をもうけることを、「株式投資」といいます。株でもうけるためのコツは、何といってもこれから成長しそうな会社を見つけることです。
会社がもうかればそれだけ配当金が増えます。すると、たくさんの人がその会社の株を欲しがるため、株価も上がっていきます。できれば、株の値段が高くなってから買うより、安いうちに買っておくのがベストです。「安く買って高く売る」ことができれば、もうけも大きくなるからです。逆に、高い値段で株を買ってしまうと、その後、値下がりして損をしてしまうかもしれません。そんなわけで、株式投資をする人は、自分で調べて、ほかのみんなよりも先にいい会社を見つけようとがんばります。
◆専門家の力を借りる方法
でも、どの株をいつ買ったらいいかというのは、判断がむずかしいものです。そこで株にくわしいプロに、株の売買をまかせる方法があります。それを「投資信託」といいます。投資信託は、たくさんの投資家からお金を集めて、それをファンドマネジャーというプロが株などに投資をし、そこでもうかったお金を投資家に配る、というしくみになっています。これなら「株価が上がった、下がった」と毎日ドキドキせず、安心していられますよね。
ただし、気をつけなければならないのは、プロにまかせたからといって必ずもうかるとはかぎらない、ということです。「投資は自己責任」という言葉があります。じっさいに株を買うのはファンドマネジャーですが、投資信託そのものをえらぶのは自分自身です。そこには自分の責任もあることを、忘れてはいけません。
たった100円からでも株式投資がはじめられるということを知っていますか。小学生のおこづかいでも買える額の株も、少なくないのです。本格的に投資をするのは大人になってからかもしれませんが、株のことをもっと知りたいなら、いますぐ1株買ってみるというのもいいと思いますよ。
全財産を「1つの株」につぎこむのはとても危険!
◆「たまごを1つのカゴに盛るな」
投資の世界には「たまごを1つのカゴに盛るな」という格言があります。カゴを落としたら、中のたまごが全部割れてしまいます。でも、いくつものカゴに分けておけば、1つのカゴを落としても、ほかのカゴのたまごは無事です。
ここでいうたまごとは、きみの大切なお金のことです。「この株はきっともうかる!」と思っても、全財産を1つの株につぎこむのはとても危険です。予想どおりいけば大きくお金を増やすことができますが、予想が外れたときの損も大きくなるからです。しかし、いろいろな種類の株を組み合わせたり、銀行で貯蓄もしたりと、お金をいくつかのカゴに分けることで、リスクを下げることができます。この考え方を「リスク分散」といいます。
◆投資と貯蓄をうまく組み合わせよう
逆に、「株は損をするのがこわい!」といって貯蓄にばかり熱心になるのも、おすすめできません。たしかに貯蓄はお金を「守る」にはぴったりです。でも、貯蓄だけではなかなかお金が増えず、それどころかお金の価値が下がることも。それは、インフレといって、モノの値段がどんどん上がっている場合です。モノの値段は上がっても銀行に預けたお金はすぐに増えてはくれません。
そこで、「お金を3等分にするといいですよ」という人もいます。お金を守るための貯蓄と、お金を増やすための株、それと本書『池上彰のはじめてのお金の教科書』では説明しませんが、株よりゆっくりのペースでお金を増やしてくれる不動産の3つにお金を分けよう、ということです。
前項で紹介した投資信託も、簡単なリスク分散の方法です。というのも、1つの投資信託には、さまざまな種類の資産が組みこまれているからです。たとえば、1万円ぶんの投資信託を買っただけでも、何十、何百という株式にリスク分散したのと、同じ効果を得ることができます。