株主がいなければ「株式会社」はつくれない
◆お金を出すと「株」がもらえる
株式会社をつくるためにお金を出した人のことを「株主」といいます。株主には「株」という書類が発行されます。
株主がいなければ株式会社はつくれないのですから、「株主が一番えらい」といってもいいでしょう。会社にとって大事なことは、株主に相談しながら決めなければいけません。そのため、1年に1回「株主総会」が開かれて、株主が集まることになっています。株主総会では、会社の経営をまかせる取締役をえらんだり、クビにしたりすることもできます。会社の社長も、取締役の中からえらばれます。
◆株は買ったり売ったりできるもの
会社がもうかると、株主はもうけの一部を分けてもらえます。そのお金を「配当」といいます。仕事ごとがうまくいき、もうかっている会社の株は配当も多くなります。すると、たくさんの人が株を欲しがり、「私にその株を売ってください」という人もあらわれます。そこで自分が買った株を、また別の人に高く売 ってもうけようとする人も出てきます。こうして株を売ったり買ったりする場所ができました。それを「株式市場」といいます。
野菜や魚など、ほかの商品と同じように、株の値段(株価)も毎日変わります。もうかっている会社の株ほど欲しがる人が多いので、「需要と供給」の関係によって、株価は高くなります。逆に、もうかっていない会社の株を欲しがる人は少なく、「だれかに売ってしまいたい」と考える人が多くなるため、株価は下がります。
じっさいに、株を売ったり買ったりするときは「証券会社」を通じておこないます。証券会社は、株式市場と株主のあいだを取りもち、手数料をもらうという仕事をしています。また証券会社も、自分たちで株を売買して、お金を増やしているのです。
株に投資をすると、「配当金」を受け取れることも
◆投資は大きくもうかるかもしれないけど……
株を買うということは、株を発行している会社のためにお金を出すということです。これを「投資」といいます。株に投資をすると、お金もうけのチャンスが2つあります。1つは、会社がもうかったときに受けとれる配当金です。もう1つは、買った値段よりも値上がりした株を、株式市場で売ったときに受けとれるお金です。
こうして大きくもうかるチャンスがあるかわりに、株が値下がりするおそれや、配当金が出ないこともあるのが、投資の特徴です。その会社が倒産すれば、株は紙切れ同然となって、投資したお金はもどってきません。このように、お金を損したり、ゼロになったりする危険のことを「リスク」といいます。
◆貯蓄は安心、だけどお金はあまり増えない
銀行にお金を預けることでお金を増やす方法もあります。これを「貯蓄」といいます。貯蓄したお金は、銀行の責任でほかの会社に貸し出されていますが、もし、その会社がつぶれたとしても、貯蓄した人のお金が減ることはありません。ですから、貯蓄にはほとんどリスクがない、ということになります。そのかわり、お金が増えるチャンスは、わずかに受けとれる利息だけです。
自分が持っているお金を増やしたいとき、この「リスク」の考え方がとても大切になります。貯蓄はリスクが小さく、受けとれるお金も少ない。投資はリスクが大きく、成功すれば受けとれるお金も多くなる。リスクのちがいが、貯蓄と投資のちがいです。
リスクが少なく受けとれるお金も少ないことを「ローリスク・ローリターン」、リスクが大きく受けとれるお金も多いことを「ハイリスク・ハイリターン」といいます。「株式会社」は、損をする危険を小さく、もうけは大きくするしくみですから「ローリスク・ハイリターン」といえるでしょう。