20年も続く「デフレ」のなかにいる日本
◆インフレは「モノの値段が上がり続ける」
日本はいま、20年も続いている「デフレ」のなかにいます。デフレは、景気が悪いことが原因で起こります。
景気がいいと、お給料が上がって、人々はたくさん買い物をするようになります。すると「需要と供給」の関係が変わり、商品の値段が上がっていきます。商品をつくる材料も値上がりします。こうして、いろんなモノの値段が上がっていくことを「インフレーション(インフレ)」といいます。お給料が上がるのはうれしいことですが、インフレが進みすぎるのは困りもの。お給料が上がらない人にとっては、「モノが高すぎて買えない!」ということになるからです。
◆日本は20年間デフレからぬけ出せない
反対に、景気が悪いと商品が売れなくなります。やむなく商品を値下げすると、今度は会社のもうけがなくなるので、社員のお給料も減ります。こうしていろんなモノの値段が下がっていくことを「デフレーション(デフレ)」といいます。
「商品が安く買えるんだから、いいじゃないか」と思ったら、大まちがいです。デフレで商品が安くなると、会社のもうけが減り、社員の給料も下がります。すると、ますます値段を下げないと商品が売れなくなります。こうして、モノの値段やお給料がどんどん下がり続ける悪循環のことを「デフレ・スパイラル」といいます。日本が長いあいだデフレからぬけ出せないのも、このデフレ・スパイラルのせいなんです。
ジンバブエという国でおそろしいインフレが起こったことがあります。ジンバブエドルが使われていたのですが、モノの値段が上がり続けたため、ついには「100兆ジンバブエドル」というお札が発行されたほど。お金の信用が失われてしまい、いまはアメリカドルと交換できる新しいお金が使われています。
スタート地点から「格差」が生じないよう国がサポート
◆国は格差を小さくしようとしている
お金持ちと、貧しい人たちの差が開いています。お金持ちはどんどんお金をもうけているのに、貧しい人たちは一生懸命働いても、お給料が増えません。こうした「格差社会」が、いまニュースになっています。私たちが暮らしている世の中は、「資本主義」といって、みんなが自由に競争し、才能がある人や一生懸命がんばった人が成功してもうかるしくみになっています。でも、成功しなかったからといって、食べるのにも苦労するぐらいの給料しかもらえなかったり、子どもが学校に通えなくなったりするようでは、私たちは安心して暮らしていけません。
そこでいま日本は、国からの働きかけによって格差を小さくするべきだという考え方をもとに動いています。たとえば、税金はお金持ちからよりたくさんとり、そうでない人の税金は少なくする。生活が苦しい人には「生活保護」といって、国からのお金を援助し、健康な暮らしを送れるようにしています。
◆すべての子どもを同じスタートラインに
とくに、子どもに対しては手厚いサポートを用意しています。公立の小学校、中学校、高校の授業料は無料です。私立の中学校、高校の授業料も無償にしようという動きもあります。
大人が競争した結果、ゴールの地点で差が生じるのは、さけられないことかもしれません。でも、競争がはじまる子どものときから差があるのは、不公平ですよね。お金がない家に生まれても、ほかの人と同じスタートラインに立てるよう、国がサポートしている、ということです。きみの人生は、きみのがんばりしだいですよ。