募集開始後に「秒速」で売り切れるファンドが続出
「ホテルや保育園などの不動産に投資をしたいけれど、元手が・・・」
「不動産投資のために頭金を払うのはちょっと・・・」
給与所得以外のインカムゲインを作りたいものの、不動産投資はハードルが高いという悩みを持っている人も多いでしょう。
そんななか、クラウドファンディングを通して、運用会社が一般投資家から小口でお金を募るスタイルが世界的に注目されています。
「30秒で売り切れた」というのは、不動産投資型クラウドファンディングサイト『CREAL(クリアル)』を運営する株式会社ブリッジ・シー・キャピタル代表取締役社長の横田大造氏。都心のワンルームマンションの場合は、募集開始した途端に、秒速で売り切れることもよくあるようです。同サービスは、国内初、認可保育所のクラウドファンディングも行う予定とのこと。元手1万円から投資ができ、賃料収入を原資とした収入を投資家に還元するというスタイル。自分のお金が社会の役に立つことを感じることができるのも人気の1つだそうです。
そもそも、クラウドファンディングとは誰でもすぐにインターネットから少額で投資ができるスタイルです。不動産投資型クラウドファンディングでは、投資家が運用会社に資金を提供し、運用会社はその資金をもとに物件を購入します。その後、賃貸経営や売却などで得た利益を投資家に還元していきます。
投資家は1万円程度の少額から投資ができ、4%前後のリターンを期待することができます。1年などの短期間で売却をすることも多く、短い期間で利益を出せるのも人気の理由です。
REITとの違いは、パッケージ商品ではなく、投資対象にする不動産を自分で選べる点。ワンルームマンション、保育園、病院介護施設、ホテルといった機関投資家が投資対象にしない、機関投資家にとっては小口な案件にも投資をすることができます。
保育園、病院、介護施設などで、共働きの増加や少子高齢化による社会問題が浮き彫りになるなか、政府の規制といった様々な理由で需給バランスが崩れている産業にも、投資をしていくことができるのです。
またREITでは、投資口価格が株式マーケットに左右されてしまい、価格変動がどうしても大きくなってしまいます。対して、不動産クラウドファンディングでは、あくまで不動産価格に基づいた元本評価がなされるため、安定したキャッシュフローを期待できます。
実際に300万円を不動産クラウドファンディングで運用している会社員Aさんの場合。毎月1万円(税引き前)を受けており、月1回ディナーに行く回数を増やすことができ、資産運用をする前よりもよい生活を送れるようになりました。
近年、不動産投資型クラウドファンディングサイトは増加傾向にありますが、物件の情報を詳細に載せているか、運用会社が一緒に出資した上で一定の損失補償をしているかどうかなどの情報も確認したいところです。
海外ファンドとの大きな違いとは?
さて、不動産を小口化したサービスが人気なのは日本だけではありません。シンガポールでも不動産を投資対象にしたファンドが注目を集めています。
たとえば、イギリスの介護施設などヘルスケアの不動産に投資をするスイスのファンドがあげられます。4年間のトラックレコードは右肩上がりで、ファンドサイズも100億円以上に拡大しています。
また、オーストラリアの土地開発に投資をするファンドが、シンガポーリアンに人気があります。ターゲットリターンがオーストラリアドルで10%程度見込めることもあり、募集を開始するとあっという間に売り切れてしまうほどの人気で、シリーズ展開しています。
しかし、これらのファンドにも難点がいくつか考えられます。原則、一定の収入や資産を持つ適格投資家向けの商品なので、一般の人が購入するには、最低でも1600万円前後の投資額が必要です。また、投資対象の情報が一部しか開示されていないので、目論見書だけを見ても不動産のイメージがつきにくいかもしれません。そして、これらのファンドには元本保障がないので、万一の際には投資額を毀損する可能性があります。
その点、日本のクラウドファンディングは、物件の写真映像や資料、運用会社によっては映像資料なども用いて情報を視覚化しており、キャピタル・ロスを10%程度運用会社がカバーしてくれる仕組みがある場合が多いです。
また、小口ではじめられることが何よりもリスク低減に貢献します。不動産投資をしたくてもこれまで手が出なかったという人や、保育園や病院など大きな投資対象に小口から投資をしてみたいという人は、これを機会にはじめてみるのも手かもしれません。
花輪 陽子
ファイナンシャル・プランナー