億単位で一括投資…超富裕層が「REIT」を選んだ理由とは?

本記事は、REITの運用で資産を大きく増やした、ふたりの超富裕層のエピソードを見ていきます。※本連載では、ペレグリン・ウェルス・サービシズ株式会社 代表取締役の山口聰氏に、超富裕層の資産運用のエピソードから、資産防衛のヒントを解説していただきます。

不動産に対する考えが違う、二人の大地主

今回は、同じような手法で資産運用に成功したお二人の具体例から資産防衛のヒントについて考えてみます。

 

H様とI様はともに60代で、どちらも古くからの大地主。先祖代々の土地を運用しながら守ってこられたので、資産運用や資産防衛について、若いころから関心が高かったそうです。

 

しかし、H様は30年以上も証券投資の経験をお持ちなのに対し、I様は不動産の運用に集中し、証券投資を始めたのは不動産運用がひと段落し始めた50代になってからでした。

 

不動産の運用手法についてもお二人には違いがありました。H様はアパート・マンション経営が中心。郊外の古くからの住宅街に単身者およびファミリー向けのアパート・マンションを多数保有していました。保有不動産の評価額としては約10億円ほど。とても慎重に行動される方ですが、実は昨年から郊外の不動産市況のピークアウトを睨んで売却を検討されています。

 

一方のI様は、ニュータウンや商業地域でファミリー向けのマンションを経営するほか、ロードサイド店舗を展開したり、企業に超長期で土地を貸しつけたりと、多様な運用をしていました。所有する不動産は地価の高い地域が中心で、評価額はゆうに20億円を超えていると思われます。また契約者から預かる敷金も莫大な金額です。「多額の敷金を長期で運用することも、今は重要な仕事です」とI様。とても大胆な判断をされる方で、ローンも積極的に活用し、いつも思い切った投資をされていました。

 

富裕層にとって不動産運用は、資産の分散効果や将来の承継対策など、様々なメリットがあります。一方で経済状況や周辺環境の変化に伴い、家賃収入が減少するリスクや、すぐに売れずに資金化しにくいという流動性リスク、多額の借り入れを必要とするリスクなどがあります。他にも手続きに手間とコストがかかります。

 

H様もI様も、承継対策には関心を持っていました。しかし不動産の相続メリットに注目しつつも保有不動産の劣化や評価額下落を気にして将来的に現金化を検討していたH様に対し、I様は将来的にも攻めの不動産運用をイメージされていました。

不動産投資のリスクを補う「REIT」に大型投資

不動産資産に対する将来的なスタンスが違うお二人でしたが、「不動産固有のデメリットやリスクを軽減・分散ができると、不動産による資産運用はより魅力的なものになる」という共通の考えをお持ちでした。そしてお二人とも、不動産投資信託「REIT(リート)」に注目をしたのです。

 

REITとは、投資家から資金を集めて、オフィスビルや商業施設、マンションなどの不動産を運用し、その不動産から得た賃料収入や売買益を投資家に分配する金融商品です。REITの魅力は、主に次の四点に集約されます。

 

●証券口座を通していつでも売買できること

●一口単位で売買できること

●不動産賃貸事業による収益の安定性が期待できること

●収益のほとんどが分配されるため安定した利回りが得られること

 

加えて、不動産投資における最大のリスクである、売りたいときに売れないという実物不動産のリスクや、不動産会社の開発事業による収益のブレのリスクが軽減されています。

 

H様とI様は、多少時期は違いますが、2013年から2014年にかけてREITへの投資を行いました。アベノミクスが始まり、日銀による大規模金融緩和を背景に不動産投資市況は拡大するだろうという読みがあったからです。投資規模としては、H様が約1.5億円、I様が約5億円の一括投資と、非常に大きい投資でした。元々不動産を中心とした資産防衛への意識が高いお二人でしたが、関西で保有している不動産を組み替えたり新規で取得したりする代わりに、首都圏を中心に優良のオフィスビルやマンションへ分散投資を行うREITを活用。流動性を確保すると同時に、首都圏を中心とする市況拡大の恩恵を多く得られる、という発想だったのです。

 

もちろんREITにもリスクはあり、大きく分類すると以下の2点です。

 

●分配金が減少するリスク(期待した利回りが得られないリスク)

●資口価格が下落するリスク(投資金額に対して含み損を抱えるリスク)

 

REITの分配金は預金や債券の利息とは異なり変動することがあります。REITは、保有する賃貸不動産の収益を原資として分配を行ないます。当然、テナント退去やテナントの事情等によって賃料が入らない場合には分配金が減少することがあります。また、REITは借入金を使って不動産を取得するため、金利上昇により分配金が減少することもあります。従って賃料水準の動向や金利の動向には注意が必要です。

 

また、REITは東京証券取引所に上場しているので、日々投資口価格は変動します。業績の変動や賃料動向などの不動産市況だけでなく、国内外の株式市場の動きや投資家の需給動向も投資口価格に影響を及ぼします。

 

そこでH様もI様も、REITの個別銘柄を選択して保有するより、複数のREITに分散投資した投資信託(ファンド)で保有することを選択しました。もともとH様もI様も短期的な価格変動に一喜一憂することはなく、短期的な売買を好む方ではありませんでした。初期の買付け手数料とランニングコストがかかりますが、個別銘柄で取引することを考えると、さほど負担感はない、という判断だったのです。

金融機関の誘いに乗らず、自分のスタンスで運用

H様とI様のユニークな考え方は、物件を保有する視点で、実物不動産の代替投資として「REITファンド」を活用した点です。保有期間は約4~5年。2014年以降、超低金利を背景にREIT価格は大きく価格上昇し、頻繁に金融機関の方から売却をすすめられてきましたが、価格の動きだけを見て売却することは、自分の資産運用の本来の目的に沿ったものではないと、お二人とも一貫して断ってきたそうです。

 

ちなみにH様は世界的な金融緩和と低金利を背景に、海外REITにも同じ投資ストーリーを見出し、海外REITに投資をするファンドも複数保有されていました。

 

そして2017年から2018年にかけて、金利動向や不動産市況の動きを見て、換金が容易なメリットを活かして売却、一旦REITファンドの運用はクローズしました。H様とI様は、投資信託の長期保有で成果を上げたよい例です。約5年間で投資資産は1.5倍になりましたので、結果的に年率約10%で運用したという計算です。

 

 まとめ 

お二人の資産運用ポイントをまとめると、次のようになります。

 

●不動産投資の視点で、実物不動産の代替投資でREITを活用したこと

●REITの価格の動きだけを見て投資判断をしていないこと

●金利動向や不動産市況全体を考慮して中長期の動きを重視したこと

●金融機関のすすめに乗らず、自分の資産運用の目的に徹したこと

●投資期間を年単位で考えてじっくり保有したこと

 

いかがでしょうか。H様とI様はまったく関係のないお二人です。しかし、守らなければならない不動産を長年運用されてきた方が、同じような考え、同じような手法で金融資産の運用を行っているということから、資産防衛の大きなヒントを得られるのではないでしょうか。

 

 

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ペレグリン・ウェルス・サービシズ株式会社
 代表取締役

1978年生まれ。同志社大学法学部卒業後、大和証券株式会社入社。大阪、東京での支店勤務と人事部付きインストラクターを経験後、アメリカン・ライフ・インシュアランス・カンパニー営業教育本部にてコンサルティングセールス研修の企画実施業務に携わる。その後バークレイズ・ウェルス・サービシズへ移り、日系メガバンクとの協働部門にて超富裕層向け資産コンサルティング業務に従事。クレディ・スイス証券ブライべートバンキング本部を経て2017年にIFA法人ペレグリン・ウェルス・サービシズ株式会社を設立。これまでの経験を生かし、独立系金融アドバイザーとしてお客様の気持ちに寄り添う資産運用コンサルティングサービスの提供を心掛けている。
国際公認投資アナリストCIIA(R)
公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員CMA(R)

著者紹介

連載金融資産5億円以上!超富裕層のユニークな運用術から学ぶ「資産防衛のヒント」

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