前回は、賃貸不動産を法人化するメリットについて説明をしました。今回も引き続き法人化のメリットと、事業用宅地に適用可能な小規模宅地等の特例などについて見ていきます。

法人なら多くの「必要経費」を計上可能

法人化をすると、必要経費を計上できるメリットもあります。法人名義で買った車や設備、食事などの交際費、携帯電話などの通信費といった類は必要経費として法人の利益から差し引けます。もちろん事業のために使うことが前提です。

 

必要経費が大きくなると会社の利益は減りますから、法人税も低くなります。所得税よりも税率が低くなり、さらにその法人税の対象となる利益も減るというわけです。これ以外にも法人化するメリットはいくつもあります。

 

「法人化するといろいろ大変そう」「法人化するにはハードルが高そう」というイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。まずは、専門家に相談することから始めてください。

自営会社の宅地に小規模宅地等の特例を適用する

被相続人の自宅に小規模宅地等の特例が使えるのと同じように、被相続人が事業用として使っている宅地についても小規模宅地等の特例が適用できます。居住や事業のための宅地は生活の基盤そのものなので、相続人が取得しやすいようになっているのです。

 

事業用宅地に該当するものとしては、個人事業のための宅地(たとえば個人商店の店舗が建つ土地など)法人事業のための宅地(たとえば自営会社の社屋や事務所が建つ土地など)、不動産賃貸のための宅地(たとえば賃貸アパートや賃貸マンションが建つ土地など)があります。

 

個人事業用および法人事業用の宅地は400平方メートルまで80%評価減、不動産賃貸用の宅地は200平方メートルまで50%評価減になります。特例の適用を受けるためには、事業を継承する相続人がその事業用宅地を取得すること、相続税の申告期限までその事業を営んでいることなどの条件があります。

 

また、平成27年以降については、居住用宅地と事業用宅地両方に対してこの小規模宅地等の特例を適用できるようになります。居住用宅地として330平方メートルまで、事業用宅地として400平方メートルまで、合計で730平方メートルに80%の減額を適用させることが可能となります。

 

平成27年では有利な改正に動きましたが、この小規模宅地等の特例は、毎年少しずつ変更が加えられています。相続税対策をする上では、今後どのように税制上で変更していくか注目しておくと良いでしょう。

本連載は、2014年8月25日刊行の書籍『相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと

大久保 栄吾

幻冬舎メディアコンサルティング

額の大きな相続は、しっかり対策をとらないと相続税が大変。だからといって親が生きているうちから子が積極的に相続対策に関与することは「縁起でもない」ということで、なかなか難しい。 本書では親が生きているうちから、子…

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