前回は、「宅地」を利用した相続対策について説明しました。今回は、相続時に有利な優良不動産を見極める方法を見ていきます。

評価減の特例が適用できる不動産か?

優良不動産であるかどうかを見極める方法として、たとえば評価減となる特例が適用できるどうかがあります。


自宅の場合は小規模宅地等の特例が適用できますが、別荘地やセカンドハウスでは適用できませんので、利用頻度が少ないなど十分に活用していなければ処分候補になります。また、土地の場合は更地(自用地)のまま所有していても評価減はされませんが、アスファルト敷きして貸駐車場(事業用地)として利用すると、事業用地として小規模宅地等の特例が利用できる可能性があります。

市場価格より「相続税評価額が低い不動産にも注目

不動産の相続税評価額と市場価格が同じということはまずありません。たとえば、タワーマンションの高層階と低層階では、まったく同じ部屋の作りだとしても、人気のある高層階の方が市場価格も高額になります。しかし、固定資産税評価額はそういった人気や需要などは加味されませんので、高層階も低層階も変わりません。


市場価格よりも相続税評価額が低ければ、相続時には有利に働きます。価値は高いのに低い相続税評価額というのが、不動産購入時のキーワードです。またタワーマンションで言えば、都心の地価の高い土地に建設されたものは、部屋数が多いので、一戸当たりの評価は低くなります。たとえば1億円で購入したものが2000〜3000万円の相続評価額となるのです。

 

さらに自分で住まずに賃貸にすれば、不動産収入源とすることも可能です。近年、相続税対策としてタワーマンションを購入する方が多いのには、こうした理由があります。

都心の駅近、整地された土地は売却に有利

入居率の良いアパートやマンションは利益を生む資産として優良です。そのままでは相続財産が積み上がって相続税額が高くなるという課題もありますが、人気がある不動産は売却するのも容易ですし、場合によっては早い段階で親から贈与をしてもらって、その後の賃料を子のものとする方法もあります。


反対に、空室が目立つアパート・マンションは利益を生まないどころか赤字になるリスクが高く、売却も一筋縄ではいきません。早めの処分を検討してもらいたい不良不動産と言えます。

 

売却したいときにすぐ売却できる不動産であるかどうかは重要です。相続した後に必要でなければすぐに売却できた方が都合が良いからです。地方の戸建てやマンションなどを所有していても、買い手がつきにくく、賃料の回収が難しかったり、固定資産税が高かったりなどで資産を圧迫してしまいます。


一方、都心の駅に近いマンションなどであれば、時間が経過しても人気が持続しやすく、買い手がつきやすいので、流動性が高い不動産となります。

 

また、木や草が生え放題の土地より整地された土地のほうが手入れも不要です。建物が建っているよりも駐車場などのほうが次に利用しやすいことから、買い手がつきやすい傾向があります。

本連載は、2014年8月25日刊行の書籍『相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと

相続貧乏にならないために 子が知っておくべき50のこと

大久保 栄吾

幻冬舎メディアコンサルティング

額の大きな相続は、しっかり対策をとらないと相続税が大変。だからといって親が生きているうちから子が積極的に相続対策に関与することは「縁起でもない」ということで、なかなか難しい。 本書では親が生きているうちから、子…

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