米連邦公開市場委員会、年内のB/S縮小停止を示唆か?

ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

今回のFOMC議事要旨は利上げ休止の背景や、利上げ再開のポイントなど政策金利についてと、B/S縮小停止時期の2点に多くの記述が見られました。B/S縮小については最近FOMC関係者が年内終了の可能性を示唆していた(図表2参照)ことから、新鮮味には乏しいものの、当面の金融政策の内容整理に役立つと思われます。

FOMC議事要旨:年内の追加利上げは意見が相違するも、年内のB/S縮小は認識が一致

米連邦準備制度理事会(FRB)は2019年2月20日に米連邦公開市場委員会(FOMC)会合(1月29~30日開催)の議事要旨を公表しました。

 

金融当局はバランスシート(B/S)縮小(図表1参照)を年内に停止することで幅広く認識が一致していることが示された一方、年内の追加利上げの是非については意見の相違が見られました。

 

[図表1]FRBのバランスシート(B/S)規模の推移

出所:米連邦準備制度理事会(FRB)を使用してピクテ投信投資顧問作成
週次、期間:2008年1月2日週~2019年2月13日週
出所:米連邦準備制度理事会(FRB)を使用してピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:議事要旨、忍耐強く、B/S縮小

今回のFOMC議事要旨は利上げ休止の背景や、利上げ再開のポイントなど政策金利についてと、B/S縮小停止時期の2点に多くの記述が見られました。B/S縮小については最近FOMC関係者が年内終了の可能性を示唆していた(図表2参照)ことから、新鮮味には乏しいものの、当面の金融政策の内容整理に役立つと思われます。

 

[図表2]FRBのバランスシート(B/S)を巡る主な発言(19年)

 

 

まず、昨年までの利上げ路線から、当面の利上げ休止に転じた背景として、消費者や企業のセンチメント悪化、金融市場の引き締まり(ほぼスプレッド拡大などの意味)による景気見通しの下方修正を挙げています。また、今後についても中国や欧州などの想定以上の経済減速や財政刺激策による景気下支え効果の低下などを挙げています。

 

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なお、声明のキーワードとなった「忍耐強く(patient)」の意味は、消費者や企業センチメントの悪化、社債利回り上昇などスプレッド拡大に加え、過去の政策金利引き上げの経済やインフレ率への影響、通商交渉の動向などを見守る姿勢と議事要旨は説明しています。

 

金融政策のフォワード・ガイダンスは緩やかな利上げという引き締めバイアスが「調整」に置き換えられ、「忍耐強く」が盛り込まれた分、ハト派的となりました。今後、金融政策を判断する上で「忍耐強く」が注目される展開が想定されます。

 

 

追加利上げの可能性については、「何名かの」参加者は、インフレ率が予想外に上昇した場合のみ、利上げが必要との見方を示した一方、「他の何名」かは、経済が予想通りなら年内の利上げを支持しており意見に相違が見られました。

 

次に、B/S縮小の停止は、既に多くのFOMC関係者がコメントしていたように、年内縮小停止の公算が高まったと見られます。その場合、B/Sは3.5兆ドルを上回り、準備預金も1兆ドルを上回る水準が確保されると見られ、当初の想定より規模の大きなB/Sが維持されると見ています。

 

なお、B/S縮小停止の詳細について不明な点も残っています。具体的な内容は、今後の会合を待つしかありませんが、クリーブランド連銀のメスター総裁が(希望として)表明したように米国国債中心のB/S構成となる展開も想定されます(図表2参照)。

 

米国経済は減速しつつも引き続きプラス成長を確保、インフレ率は目標近辺で推移し、雇用市場などは健全なことから、市場の落ち着きなどを忍耐強く待つ必要はありますが、米国の次の金融政策の方向は利上げと見ています。

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米連邦公開市場委員会、年内のB/S縮小停止を示唆か?』を参照)。

 

(2019年2月21日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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