家族が家族のために…超高齢社会で注目が集まる「民事信託」

今回は、家族が受託者となる民事信託等について見ていきます。※本連載では、株式会社継志舎代表取締役・石脇俊司氏の著書、『民事信託を活用するための基本と応用』(大蔵財務協会)から一部を抜粋し、信託活用にあたって理解しておきたい基本事項について解説します。

信託の受託者は権限を持つだけでなく、義務も負う

Q 信託の受託者の業務について。受託者は何をするのか?

 

A 受託者は、引き受けた信託の目的の達成に向けて、信託財産の管理・処分を行っていきます。

 

 Point 

□受託者は委託者の信託目的を達成するためその信託を引き受ける

□受託者は信託目的を達成するために信託財産の管理・処分に権限を持ち義務も負う

 

信託には必ず目的があります。目的がない信託は信託ではありません。例えば、高齢者の資産を管理する信託では、その高齢者の健全な福祉を実現するという目的があります。病気や精神的な理由で高齢者自身が財産の管理ができなくなった後も、受託者にその管理を任せつつ高齢者は福祉的な生活を送れるようになります。

 

委託者が実現したい目的を信託行為に定め、それを受託者が引き受ける、これが信託の基本的な枠組みです。受託者は委託者より引き受けた信託の目的を実現するために必要な行為をする権限を有しています。また、信託を引き受けてから終了するまでの間、受託者は、様々な義務を果たさなければなりません。

 

受託者となることは「大変なことを引き受ける」その覚悟が必要です。

 

[PR] 2019年 5月22日(水)無料セミナー@幻冬舎(東京)
本稿執筆者が特別登壇!
金融資産1億円以上の企業オーナー・富裕層のための
相続、事業・資産承継の悩みを解決する「民事信託」の具体的活用術

免許や登録のない者でも「信託の引き受け」は可能

Q 民事信託とは?

 

A 民事信託についてその定義はいくつかあります。本連載

では、信託を業としない者が信託を引き受ける(受託者となる)信託と定義します。さらにその引き受け手は、委託者の家族等が担います。

 

 Point 

□家族等が受託者となる信託

□家族が受託者となるゆえに各専門家の支援が必要な仕組み

 

信託の主な担い手は、内閣総理大臣の免許又は登録を得た信託会社や信託銀行です。複数の者から信託を引受ける信託業の営業を行うことができます。信託会社や信託銀行は、社会のニーズにあわせ今後、様々な信託商品を開発していくことと思われます。

 

一方、信託業の免許や登録のない者でも信託の引き受けは可能です。高齢になった父や母の財産管理を行うため、子供等が受託者となり信託を引き受ける民事信託の取り組みが注目されています。身近な家族に財産管理を任せることの安心感からも今後その取り組みの数は増えていくことでしょう。

 

父や母が高齢となり自身で財産の管理ができなくなる前に、子供たちが務める受託者に財産を移転し、子供たち受託者が財産の保守、修繕、運用し、受益者である父や母に運用益等を給付することができる仕組みは、今後の超高齢社会に必要な財産管理の方法です。

「素人受託者」は様々な専門家からの支援が必要である

信託は財産管理と承継の仕組みです。その信託を業として行うためには、内閣総理大臣の免許または登録が必要となります。一方、信託の引き受けを業としない民事信託は、資産管理の専門家ではない家族等が受託者となり信託を引き受ける信託です。そのため、素人受託者は様々な専門家から支援をうける必要があります。

 

民事信託をより発展させていくためには、金融機関、弁護士や司法書士などの法律の専門家、税理士や公認会計士などの税・会計の専門家、各財産の管理・運用業務に精通した資産管理の専門家、そして受託者の信託事務を支援する信託に精通した実務家の支援が必要です。

 

民事信託の利用

 

高齢者の財産管理と資産承継に対応できる信託は今後さらに活用が進むと思います。様々な利用法が生まれてくることでしょう。

 

家族が家族のために引き受ける信託では受託者が、信託会社や信託銀行のように内閣総理大臣の免許も登録も必要とせず、当局の監視もありません。そのため民事信託を利用する者は、自らを律し信託法に従って正しく活用していく必要があります。

 

家族の状況にあわせて自由な設計が可能な民事信託でも、行き過ぎた利用がなされると現行法に加えて新たな規制がかかることも考えられます。民事信託ならではの柔軟性を欠いてしまうような規制が導入されることは、筆者は民事信託を支援する者として防いでいかなければならないと考えています。そのために、実務家として正しい民事信託の利用を広げていきたいと思っています。

 

[PR] 2019年 5月22日(水)無料セミナー@幻冬舎(東京)
本稿執筆者が特別登壇!
金融資産1億円以上の企業オーナー・富裕層のための
相続、事業・資産承継の悩みを解決する「民事信託」の具体的活用術

一般社団法人民事信託活用支援機構 理事
株式会社継志舎 代表取締役 

外資系生命保険会社、日系証券会社、外資系金融機関、信託会社を経て、本機構の立ち上げに参画。金融機関での経験を活かし、企業オーナー等の資産承継対策の信託実務を取り組む。会計事務所と連携した企業オーナーや資産家への金融サービスの提供業務にも経験が豊富である。著書に『信託を活用した ケース別 相続・贈与・事業承継対策』(共著・日本法令)『「危ない」民事信託の見分け方』(共著・日本法令)がある。JP税務戦略研究会顧問。

株式会社継志舎
東京都中央区日本橋本町4-8-17 KN日本橋ビル204F
TEL:03(5542)1233
HP:http://keishisha.com/

著者紹介

連載相続・事業承継のための「民事信託」の基礎知識

民事信託を活用するための基本と応用

民事信託を活用するための基本と応用

石脇 俊司

一般財団法人 大蔵財務協会

実務目線による経験に基づく情報を盛り込み、「非営利型の一般社団法人」を活用した民事信託における実務のポイントを整理し、わかりやすく解説します。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧