将来のために大切な「資産づくり」。お金が貯まる人と、貯まらない人にはどのような違いがあるのでしょうか? 本連載では、経営者や中小企業向けにアセットアドバイザリーを行う株式会社HAM代表取締役の垣屋美智子氏の著書、『使えば増える! お金の法則 ―ワクワクしながら資産づくり―』(時事通信社)の中から一部を抜粋し、資産づくりにつながる「効率的なお金の使い方」について解説していきます。今回は、ついつい無計画な出費をしてしまうケースについて見ていきましょう。

行き当たりばったりで小さな出費をしていませんか?

のどが渇いたらコンビニに立ち寄り、お店に入ったらなんとなくモノを買ってしまうなど、必要のないところで、ちょこちょこお金を使っていませんか。

 

これらは、まさに計画性のない消費行動です。

 

のどが渇いたといっても、脱水症状になるほどに水分が必要というよりは、なんとなくコンビニに寄りたいという衝動で立ち寄るケースが多いと思います。そして、欲望のままに、必要以上のモノを買ってしまうのです。

 

例えば、レジ周辺に陳列されているガム。100円前後のモノが種類豊富にディスプレイされていて、レジ待ちをしている間に「気分転換に、あったらよいかも」と手に取って、そのまま購入してしまう・・・。

 

そもそも飲み物もガムもそんなに必要ではなかったはずです。コンビニに立ち寄ってしまったがために、無駄にお金を使ってしまっているのです。

 

こういった無計画消費は、購入金額が高額でないケースが多いです。

 

高額でないため、特に悩みもせず、欲望のままに購入してしまうのです。

 

それから、本人には自覚がないかもしれませんが、「お金がない」と口癖のように言っている人ほど、外出先で率先して買い食いするなど、よく無計画消費をしています。そういった人は、買い物をしている回数が多く、買い物をするたびにお金が減るので、「お金が減っていく。お金がない」と感じる機会が多いのだと思います。

 

そう、「お金がない」と言う人の方が、小さい出費をたくさんしているのです。

 

いつもコーヒーを片手に持っていたり、カフェに行くと食事時間でもないのにコーヒーだけでなくパンケーキもオーダーしたり、待ち合わせに間に合うように焦ってタクシーに乗ったり・・・。そういう人が「お金がない」と言うと、「お金がないって言うわりには、お金使ってるよね」と思わず突っ込んでしまいたくなります(笑)。

 

また、公園に来る親子連れを観察していると、お金の使い方の違いが顕著に分かります。

 

公園での子どもの行動というのは、大体予測可能です。遊ぶ→転ぶ→バンドエイドが必要になる→「のどが渇いた」と言ってくる→「お腹が空いた」と言ってくる→「では帰ろう」と言うと「帰りたくない」と言ってくる、のパターンです。

 

このパターンで母親が持ってないといけないアイテムは、絆創膏(ばんそうこう)、飲み物、軽食です。これを持ち合わせていないと、自分の子どもだけ水分をとらなかったり、他の子どもの軽食をもらったりすることになってしまいます。

 

そこで、手ぶらで来た母親は当たり前のように現地調達をすることになりますが、子連れでコンビニに行くのは、かなりの危険行為です。「あれもほしい」「これもほしい」という子どもを抑えるのにも労力を使い、結局、余計なモノまで買うはめになります。

 

1日の現地調達額が仮に300円だとして、週5日で1500円、1カ月で6000円の余計な出費になります。子どもをスイミングスクールに週一で通わせられるくらいの額ですね。

 

[図表]

 

 

行き当たりばったりの生活をして、無計画に消費していくのではなく、自分の生活パターンの中で、余計なモノを買うようなことがないように、行動を見直してみましょう。

 

特に小さい出費ほど、意識をせずに使っていることに気づくのではないでしょうか。

 

Rule

「お金がない」が口癖の人は、無計画な小さな出費をたくさんしている

 

買い物欲を満たすために買い物していませんか?

お店に行くと何かを買いたくなってしまう、そういう人はいませんか。

 

そういう人は、何かを買って帰りたいという衝動で、「人へのプレゼント」などと、わざわざ理由をつくって購入してしまうのです。

 

私の場合、母と祖母が必ず私のパジャマを買ってきます。

 

母が買ってくるのは子どもの頃からの流れなので(もう私もいい大人ですが)、親の愛情と思い、断らずに受け取っていましたが、祖母までもがパジャマをくれるのです!

 

「たまに会ってパジャマをくれるなんて、私のことをいつも思ってくれているのだわ」と、祖母からのパジャマもありがたく受け取っていましたが、はっきり言って、母が買ってくるパジャマも祖母が買ってくるパジャマも、私の好みのデザインでないし・・・。自分では絶対買わないパジャマで過ごす家での私の姿は、間違っても他人に見られたくありません(笑)。

 

そんなパジャマ在庫を抱えている私が、ある日、母と買い物に行ったときに、「このパジャマ、かわいいから○○ちゃん(私の子ども)に買うわ。家で着るからデザインが気に入らなくても大丈夫でしょ」というのを聞いて、母と祖母、二代にわたって私にパジャマをくれる理由がようやく分かりました。

 

母も祖母も、買い物に出かけて何も買うモノがなかったときに、人のパジャマを買うことで「買い物欲」を満たしていたのです!

 

これまで愛情だと思って受け入れていましたが、母と祖母のパジャマプレゼント攻撃の理由を知った私は、「寝るときくらい、自分の趣味で選んだパジャマを着たいの」と伝え、プレゼント攻撃も終わりを迎えました(先日、10年以上ぶりに自分でパジャマを選んで購入したので、それを着て過ごすのが楽しみです)。

 

話が私のパジャマにそれてしまいましたが、このように、モノを買って持ち帰ることが買い物の目的になると、目的を満たすために必要でないモノや、誰もさほど喜ばないモノにでもお金を使ってしまい、結果的に無駄遣いをしてしまいます。

 

「何かを買いたい」という衝動にかられたときは、それは「購入をした」という一瞬の満足感を味わいたいだけだと認識してみてください。そして、買い物に出かけて手ぶらで帰ってくることは悪いことではないと考えを改めましょう。

 

ウィンドウショッピングという言葉があるように、見て回って、情報収集して、購入の準備をする、というのも買い物のプロセスとしては正当なのです。せっかく交通費を使って時間をかけて来たのに、ピンとくるものがなかった日は、残念な気持ちにはなりますが、無理に何かを購入せずに、「今日は縁がなかった」と受け入れるようにしてみましょう。

 

Rule

店で買うモノがなかったら、買い物欲に惑わされず、手ぶらで帰ろう

 

セール品は甘い罠…お得感にお金を使っていませんか?

セールが大好きな人、いると思います。シーズンごとのセールやアウトレットモールでの買い物は、「安く買えた!」と“お買い得感”を味わえます。

 

けれど、「安いから」という理由で買ったモノの大半は、あまり大事にしていなかったり、買ったこと自体を忘れていたりすることもあるのではないでしょうか。

 

そう、安くてもあまり使わないモノを買ってしまい、本当にほしいモノだったのか分からなくなってしまうのが、セールの落とし穴なのです

 

あるブランドのセール会場でのことです。

 

洋服を探していたひとりの女性がワンサイズ大きいのだけれど、気に入ったモノが見つかったらしく、買うか買わないか非常に悩んでいました。それを見ていた、その女性の友人は、「すてきな服だけど私ならサイズが合わないものは買わないわ」とポツリと一言。

 

的を射た言葉に、悩んでいた女性も絶句していました。

 

普通に考えて、ワンサイズ大きいものは買わないですよね。それでも、悩んでしまうのは、それが割引価格で、彼女がラックに戻したら誰かが買ってしまうと思ったからでしょう。結局その女性が買ったか買わなかったかは分かりませんでしたが、買ったとしても、きっとタンスの肥やしになるであろうことは容易に想像できました。

 

また、私の友人は、アウトレットモールに行くために、ホテルからタクシーを使っていました。ホテル代やタクシー代を考えたら普通にデパートに行ってもよいのではと思いますが、それくらいセールの“お買い得感”は人を惑わせるのです。

 

割安感に目がくらむのが、セール。「安いから」という理由がメインになっていないか、本当に気に入って買いたいのか、冷静になって判断するのは難しいです。

 

そんなときは、いったん店を出て、冷静になって考えることも必要です。お店の中にいると、「ここで買わなければ誰かが買っちゃうかも」などと思いますが、そんなことはほとんどありませんし、本当に在庫がなくなってしまったら、縁がなかったというだけなのです。

 

Rule

セールで買い物するのは、ただの無駄遣いになりかねない

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