経営難の医療機関が「反社会勢力」に食い物にされるワケ

今回は、医療機関における設備投資のコストの見直しの重要性を見ていきます。※本連載では、厳しい経営を迫られる医療機関において、固定費のなかでも見直されることの少ない「水道光熱費」に着目し、これらの大幅削減を可能にする「ヒートポンプ」を紹介・解説していきます。

医療機関の経営難は、設備投資への過剰なコストが原因

多くの医療機関や介護施設が経営難に陥る最も大きな原因は、設備投資などにコストをかけすぎていることです。2016年に経営破綻した医療法人武蔵野総合病院(埼玉・川越市)のケースも、過剰な設備投資が原因でした。

 

武蔵野総合病院(病床数185)は、地元の川越では50年の歴史を持ち、外来診療のほか人間ドックやリハビリテーションなど、地域の中核的な役割を担う医療施設として知られていました。

 

2016年3月期の売上高は約27億円(前期比12%増)と表面上は順調でしたが、2015年にオープンした系列のクリニックに高額な医療機器のリース代や家賃などがかかったほか、系列病院の病棟の建て替えに身の丈以上の多大な投資をするなどして、資金繰りが悪化。事業計画の甘さから債務超過に陥りました。負債は武蔵野総合病院が約34億円、グループ全体で約62億円に達しました。

 

経営破綻を招くことになった原因について、武蔵野総合病院の代理人は「事務方の提案する投資計画に対し、医師を兼務する理事は追認するだけとなっていた」と話しています(日本経済新聞2017年2月1日付)。

 

経営難に陥った病院や医院のなかには、診療報酬を健康保険組合に請求できる「診療報酬請求権」を担保にして金策に走ったり、医療法人の経営権を譲渡したりしているところも少なくありません。

 

2018年10月9日付の産経新聞では、経営難の医療機関に目をつけた暴力団やブローカーが、医療関係者を装って近づき、食い物にしている実情を報じました。一部の暴力団員やブローカーは、資金不足ですぐに現金が欲しい病院の理事長らに対して、診療報酬請求権の売却で運転資金を工面する提案を承諾させ、売買をくり返しては利益を上げているそうです。同年7月には、千葉県内の医療法人の経営権を掌握して乗っ取り、詐欺事件を起こしたブローカーら5人が逮捕されています。

いまいちど「経営にかかるコスト」の見直しを

そもそも、経営難に陥り、ときには犯罪集団にまで狙われてしまう大きな原因の一つに、経営陣に経営感覚を持つ人が非常に少ないことが挙げられます。

 

しかし、それは仕方のないことでもあります。そもそも医療法人の理事長には、原則として医師または歯科医師でないと就任できないということが法律で定められているためです(医療法46条第1項)。

 

当たり前のことですが、多くの医療機関や介護施設の理事長は、医療や介護のエキスパートではあるものの、経営のプロではありません。経営ノウハウが乏しい専門家が経営トップになることで、放漫経営に陥りやすいという落とし穴があります。

 

そんななかで安定した経営を実現するには、①経営陣が経営に関する知識を身に付ける努力をすること、②過剰な設備投資を控えてコストを適切に管理することが非常に重要です。この苛烈な時代に生き残りを図るためにも、いまいちど経営にかかるコストを見直し、対策を徹底していかなければなりません。

 

コスト管理に取り組む上で心がけたいのは、まずは経営トップである理事長や院長、事務長らが危機感を持ち、組織としての方針を打ち出すことです。最近では赤字経営状態を打破するために、コンサルタントに依頼する病院も増えてきています。

 

トップの人々が「このままで別にいい」とやり過ごすか、「可能な限りのコスト削減をしよう」と誓うかで、経営改革の成功率は大きく違ってきます。末永く地域で愛される病院や施設であり続けるためにも、やれるだけのことは全てやるんだという心づもりが大切になります。

 

後述しますが、私はヒートポンプシステムの導入を通じて、多くの企業や団体の水道光熱費のコスト削減に携わってきました。

 

その中で非常に気になったのは、最終的にシステムの導入をする・しないに関係なく、トップがコスト削減にあまり意欲的ではなかったり、明確なメッセージを打ち出さなかったりする場合、現場の職員にも危機感が伝わらないケースが非常に多いということです。

 

「これだけ忙しいのだから、うちの病院の経営が厳しいはずがない」と実感を持てなかったり、「どうせ病院の経費だから」と考え、コスト削減のための取り組みに消極的であったりして、良い結果にはつながりません。

 

コスト削減に努めることは、質の高いサービスの維持と安定した経営につながり、ひいては良好な職場環境の維持につながります。そのことを、まずは経営陣に理解してもらうことが非常に大切だと、私は多くの現場を見て強く感じています。

 

 

柴 芳郎

ゼネラルヒートポンプ工業株式会社 代表取締役

 

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ゼネラルヒートポンプ工業株式会社 代表取締役

北海道生まれ。名古屋大学大学院工学研究科卒。博士課程在籍中に、地中熱ヒートポンプの開発研究を始める。
1997年ゼネラルヒートポンプ工業株式会社入社、開発部に所属。東京大学と「地中熱空調システムの普及・実用化に関する研究」などの共同研究などを行う。2012年、開発部を「再生可能エネルギー研究所」と改名し所長に就任。2016年より代表取締役に就任。2018年、同社の透析の排熱再利用システムを利用した病院が東北経済産業局からエネルギー管理功績者表彰を受ける。
現在では、モンゴル・ウランバートル市政府と地中熱ヒートポンプシステム導入を目指す覚書を締結するなど、国内のみならず国外へも活躍の場を広げている。

博士(工学)
エネルギー管理士
高圧ガス製造保安責任者(第一種冷凍機械)
一級管工事施工管理技士
一級地中熱施工管理技術者

著者紹介

連載医療・介護施設経営者必見!水道光熱費を劇的に削減する「ヒートポンプ」とは?

医療・介護施設経営者のための 水道光熱費を劇的に削減する方法

医療・介護施設経営者のための 水道光熱費を劇的に削減する方法

柴 芳郎

幻冬舎メディアコンサルティング

2017年の病院運営実態分析調査によると、総損益差額が赤字の病院は約7割にもなるとの結果が出ています。 一方介護事業においても、報酬引き下げや人材不足が原因で、廃業・撤退が相次いでいます。 そのため医療・介護施…

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