長期的な運用で安定した資産を形成できるといわれている不動産投資ですが、知識がないばかりに大きなマイナスを抱える投資家がいるのも事実です。本連載は、株式会社CFネッツ副社長・アセットコンサルタントの山内真也氏の著書、『プロが教える 不動産投資の真実』(プラチナ出版)の中から一部を抜粋し、ワンルームマンションへの投資を中心に、不動産投資とはどういうものか、またどのような目線で投資を進めていけばいいのか、多くの数字をもって解説していきます。今回は、土地から購入する新築アパート投資と建売り型の新築アパート投資の相違点と、中古アパート投資の可能性を見ていきます。

「土地から購入の賃貸経営」は自由度が魅力

土地購入からの新築アパート投資とは

 

ここでは、新築アパート投資の中でも、土地を購入してアパートを建てる不動産投資を考えます。新築ワンルームマンションの話題から脱線しますが、ここまでの話で新築アパート投資に関心を持った投資家の方は参考にしてください。

 

新築アパート投資といっても、実は建設業者や不動産業者が土地を買ってアパートを建て、完成後に投資家に販売する、いわゆる建売型の新築アパートと、投資家自らが更地や古家付きの土地を購入して、自分でアパートを建てる新築アパート投資との2つの方法があります。

 

建売型の新築アパートは、完成後の引き渡し時に融資を実行する一括融資実行型でローンを組みます。

 

これに対して、土地購入から始める新築アパート投資では、土地と建物それぞれの引き渡し時に、それぞれの融資を実行する分割融資実行型でローンを組むのです。

 

この分割融資実行型の流れをもう少しくわしく説明すると、アパートを建てる土地を購入・引き渡した時点で、まず土地分の融資を受けて、土地売主に代金を支払います。

 

次に、建物建設については、着工時に30%、上棟時に30%、建物完成・引き渡し時に残り40%といった具合に、工事の進捗に併せて銀行から融資を受けながら、代金を建設業者に支払っていくのが一般的です。

 

この割合は建設業者などの条件によって異なりますが、自宅である注文住宅を建設する場合も、多くはこの支払い方法が採用されています。

 

さて、土地購入から始める新築アパート投資のメリットは、すでに間取りや設備仕様がおおよそ決まっている建売型の新築アパートと違って、完成後の賃貸経営を意識した企画や設計を取り入れやすいことです。

 

私が探し出した土地を投資家に購入してもらってアパートを建設する場合、弊社のプロパティマネージャーと打ち合わせのうえ、そのエリアで主に見込める賃貸需要に最も適した間取りや設備仕様を取り入れるように心掛けています。

 

つまり注文住宅と同じように、自由なプランを採用し、設備やインテリアにも賃貸需要を意識した、工夫を凝らす余地が大いにあるということです。

 

建売型のアパートを建設・販売する不動産業者が買えない土地が買えるのも、土地購入から始める新築アパート投資のメリットといえます。購入した土地の代金と建設費に自社利益を乗せて販売しなければならない業者が買える土地価格は、自ずと限界があるのです。

 

これに対して、投資家自らが土地を購入する場合は利益を乗せる必要がないために、業者より高い価格で土地を買っても、その後の賃貸運営が成り立つ投資戦略が組み立てられるケースがあります。

 

一方で、建売型の新築アパート投資にはないデメリットもあります。まず融資を何度にも分けて受けなければならないために、その手続が煩雑なことです。

 

さらに、こうした融資に消極的な銀行も多く、融資先は限られるという現実もあります。

 

また、建物完成前に融資を実行するために、引き渡し時に一括で融資実行する建売型では発生しない利息が生じてしまうのもデメリットです。

 

たとえば、3500万円の土地を金利3%の銀行融資によって購入すると、土地購入から建物完成までにかかる半年分の利息約52万円を負担しなければなりません。

 

このように、融資手続の煩雑さや、利息負担といったデメリットはあるものの、建物完成後の賃貸運営を成功に導くプランを採用しやすい、土地購入型の新築アパート投資は、結果的に投資家の利益になることが少なくないのです。

 

アベノミクス・東京オリンピック開催により価格の上昇している今だからこそ、このようにして投資の選択肢を増やし、さまざまな角度から検討する必要があるのです。

投資方針で判断がわかれる「中古アパート投資」

中古アパート投資について

 

ではここから少しだけ、中古アパート投資についても触れたいと思います。

 

新築アパート投資と比べ利回りは高くなるものの、どうしても融資条件が悪くなってきます。とくに木造であれば、融資期間が短くなる傾向にあり、築浅でもない限り、15~20年というのが一般的です。

 

仮に築年数の古いアパートで長期間融資を組もうと思えば、金利が高くなることが多くあり、また場合によっては、自己資金比率の上がるケースも出てきます。

 

今のような情勢で考えると、新築より利回りが高いといっても、それほど極端に良くなるケースというのは少なく、買ってからの修繕費用を見積ったときに、どれだけ投資としてうま味があるのか、というところを考えなければなりません。

 

仮に低金利の銀行を利用した場合、金利は2%、融資期間が15年であるとすれば、5000万円のアパートを表面利回り8%で買ったときの収支としては、以下のようなイメージです(図表1)。

 

[図表1] 築古中古アパート
[図表1] 築古中古アパート

 

年間のキャッシュフローでマイナス27万円。最初に行う投資としては、少々抵抗があるかもしれませんね。

 

では、同じ物件で金利が3.5%、融資期間25年だとすればどうでしょうか。なんとか年間のキャッシュフローが、50万円は残るようになりました(図表2)。

 

[図表2] 築古中古アパート:金利3.5%、融資期間25年
[図表2] 築古中古アパート:金利3.5%、融資期間25年

 

しかしながら、退去後の室内修繕コストを考えると、ここからさらに、手残りが減ることが考えられます。

 

築20年も経っていれば、ワンルーム1室に対しての修繕費というのは、平均20万円くらいかかってくるでしょうから、年間2室退去があれば、それだけでほとんど手残りがなくなるということです。

 

ではこの物件は投資として不適格なの?というと、それはまた別の話になります。

 

中古アパートのメリットとしては、エリアにもよりますが、新築と違い家賃の下落が少ないということ。

 

よって収益還元から購入時と売却時の価格の差が、ほとんどなく売却できる可能性があるというわけです。

 

たとえば10年後に同額で売却できたとすれば、5000万円-ローン残債3150万円-諸費用200万円=利益1650万円となります(譲渡税は含まず)(図表3)。

 

[図表3] 10年後に売却
[図表3] 10年後に売却

 

すると、図表4のようにIRR(内部収益率)は10.6%となり、決して投資としては悪くない結果がでてきます。

 

[図表4] IRR(内部収益率)
[図表4] IRR(内部収益率)

 

あとは、これを投資家さんそれぞれで、どう考えるかということになります。

 

すでにある程度の収益物件を所有して、キャッシュフローにも余裕があるという方であれば、このような中古のアパートを買ったとして、仮に修繕コスト等で持ち出しになったとしても、とくに問題はないと思います。

 

しかしながら、一棟目からほとんどキャッシュフローが期待できず、マイナスになる可能性の高いアパートだと、精神的にもストレスが大きいかもしれませんね。

 

それならばやはりキャッシュフローの出やすい新築アパートで、レバレッジを効かせながら、まずは安定的に運用するほうが資産形成はしやすいと思います。

 

そんなところを考えながら、自分にとってどういう投資方針で進めたほうが良いのかを選択することが重要になってくるということです。

 

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