直接金融の時代をつくる「株式投資型クラウドファンディング」

2017年にスタートした「株式投資型」のクラウドファンディングに注目が集まっている。これまで日本の産業を支えてきた金融システムは、銀行など金融機関による「間接金融」が主流であったが、株式投資型クラウドファンディングの登場で、投資家と企業がダイレクトに資金をやり取りする「直接金融」の時代の訪れが見えてきた。※本連載は、株式会社パブリックトラスト代表取締役の佐藤公信氏の著書、『クラウドファンディング2.0』(日本文芸社)から一部を抜粋し、株式投資型クラウドファンディングの最新情報を紹介します。

従来のクラウドファンディングでは対応できない領域

イノベーションには、いろいろなレベルがあります。少し改良した新しい商品をつくることから、社会を劇的に変える商品・仕組みをつくることまであります。

 

クラウドファンディングを利用すれば、それぞれのイノベーションの資金ニーズに応じて、一番使いやすいものを選ぶことができます。

 

社内で新商品開発をするときには、購入型のクラウドファンディングが利用され始めています。新しい商品を作っても、それがマーケットに受け入れられるかどうかはわかりません。商品開発のための資金を募る形でクラウドファンディングを利用すれば、マーケット・リサーチにもなります。

 

予想以上に資金が集まれば、かなりニーズがある、あるいは、かなり世間的に注目される商品であることがわかります。予定した額の資金が集まらなければ、商品に魅力がないということかもしれません。

 

クラウドファンディングを利用すると、資金を出してくれる人たちとのコミュニティもできますので、お客様の意見や感想、アイデアを聞きながら商品に改良を加えていくことも可能です。

 

これらの仕組みは、新商品開発をするときに非常に役に立ち、当初想定したよりもはるかにイノベーティブな商品ができ上がる可能性もあります。

 

文化的なイノベーションを起こそうという場合には、ファンド型や購入型のクラウドファンディングが使われています。クラウドファンディングは、映画や音楽をつくる際の資金集めによく利用されています。

 

まったく新しいビジネスをつくって世の中を変えていくというようなタイプのイノベーションの場合は、従来のクラウドファンディングの範疇では対応できませんでした。

 

日本で課題とされているのは、ベンチャー企業、スタートアップ企業による事業創出とその育成です。日本人がアイデアを持っていないわけではなく、いいアイデアをたくさん持っているのに、それを応援して育てていく仕組みがないために、ベンチャー企業、スタートアップ企業、企業内企業が成長できない状況になっています。

 

新たに始まった株式投資型のクラウドファンディングが、その状況を変えるきっかけになります。

銀行などの金融機関を必要としない「直接金融」の衝撃

私は株式投資型クラウドファンディングは、「間接金融」から「直接金融」への大きな流れをつくり出すと期待しています。

 

間接金融というのは、銀行による融資が代表的なもので、これまでの日本の産業界を支えてきた金融システムです。それに対して、株式投資型クラウドファンディングは、投資家から直接、資金を調達する直接金融です(下図参照)。

 

[図表]直接金融と間接金融の違い

 

 

株式投資型クラウドファンディングによって、直接金融の流れができると、産業界の事情は大きく変わります。

 

これまで資金調達が難しかったベンチャー企業に「返済不要のリスクマネー」が入るようになり、会社を成長させるのに役立ちます。新規産業を大きく育てていくという、重要な意味を持っています。

 

「クラウドファンディング1.0」は、どちらかというと、チャリティー的なものやカルチャー的なもの、あるいは新規商品のパイロット販売的な意味合いの強いものでした。それらはクラウドファンディングの主流になってきましたが、残念ながら、産業界を変えるほどのインパクトはありませんでした。

 

映画、音楽は、日本ではそれほど大きな産業ではありません。音楽デビューしたい人、映画監督デビューしたい人には、クラウドファンディングは役立つ仕組みですが、多くの日本人が食べていく産業に育つかというと、そこまでは期待できません。

 

新規商品の販売に使われている購入型のクラウドファンディングは、予約購入という形態がクラウドファンディングのプラットフォーム上に移ったものと見ることもできます、これも、産業界を変えてしまうほどのものではありません。

 

それに対して、「クラウドファンディング2.0」の株式投資型は、新規産業を次々と孵化(ふか)させていく可能性を持ったものです。

 

もちろん、これまでにも株式投資という仕組みはありました。しかし、取引所などの株式マーケットは、ごく一部の上場企業に資金が流れていく仕組みであって、創業したばかりのベンチャー企業に資金が流れていく仕組みではありませんでした。

 

ベンチャー企業は、縁故者からお金をかき集めるか、銀行から借り入れするしか資金調達の道はありません。たまに、ベンチャーキャピタルや大企業などからの出受ける企業もありますが、ごくまれな例です。

 

一般的には、ベンチャー企業が成長していくための資金が集まりにくい状況でした。

 

世の中には、「少額ならベンチャー企業に出資してもいい」という人はたくさんいるのに、そのお金がベンチャー企業に入っていかなかったのです。株式投資型クラウドファンディングはそれを変える仕組みです。

 

実は、一般投資家と未公開のベンチャー企業をつなぐ仕組みがこれまでになかったわけではありません。株式投資型クラウドファンディングの原型とも言える「グリーンシート」と呼ばれるものが存在していました。

 

後ほど詳しく触れますが、グリーンシートにはさまざまな問題が発生して、結局はうまくいきませんでした。その教訓も踏まえて新たに法整備されたのが、株式投資型クラウドファンディングです。

 

 

佐藤 公信

株式会社パブリックトラスト代表取締役

 

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1960年生まれ。千葉県出身。株式会社パブリックトラスト代表取締役。クラウドファンディング・コンサルタント、および、起業家の夢を企画にする専門コンサルタント。
立教大学社会学部卒業後、12年間、株式会社クレディセゾンで企画業務に携わる。構想を企画にするノウハウと戦略構築の手法を独自に体系化、ストラテジックタワー(戦略四角錐)を考案。
2000年、株式会社パブリックトラストを設立。「誰でもわかりやすく、一流の経営戦略を作れる」をコンセプトとしたオリジナルメソッドで、これまで2000人以上の社長の事業計画書作成を支援。同時に、株式投資型クラウドファンディング(IFO)で投資資金を調達する支援を、前身のグリーンシートの頃から行なっている。コンサルタント会社として支援数は全国一。
クラウドファンディングやベンチャーキャピタルからの資金調達、IPO、戦略構築、イノベーションセミナー等を定期的に行なっている。

著者紹介

連載「共感」が広げるビジネスの可能性…クラウドファンディング2.0

本連載は、投資を促したり、特定のサービスへの勧誘を目的としたものではございません。また、投資にはリスクがあります。投資はリスクを十分に考慮し、読者の判断で行ってください。なお、執筆者、製作者、日本文芸社、幻冬舎グループは、本連載の情報によって生じた一切の損害の責任を負いません。

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