社長が作りやすく、わかりやすい形式でOK
事業計画書作りで社長にやっていただきたいことは、「経営改善計画書」と「資金繰り表」の作成です。ざっくりとした内容でかまいませんので、社長自身でこれらを作り、プロに渡してほしいのです。そうすれば、後は銀行が納得するように、プロが実際の事業計画書に落とし込んでくれます。
まず資金繰り表ですが、資金繰り表に決まったフォーマットはありません。社長が作りやすく、自分で見てわかる形式であればOKです。どんなふうに作ればいいかわからない方もいるかもしれませんので、参考として見本を挙げておきます(図表2)。
[図表2]資金繰り表のフォーマット
銀行はたいてい1年間の資金繰り表を求めてきます。3月期決算の会社が6月に作成するとすると、資金繰り表の一番左は4月の実績が入ります。左から二番目には5月の実績が入ります。そして、6月~翌年3月まで各月ごとに予想の数字を入れていきます。
実績はすでに数字が出ているので、それを記入します。
税理士等に相談しながら数字を埋めていく
予想値では、6月は5月の業績がある程度出ているはずなので、それを鑑みて予想を立てます。たとえば売上でいうと、現時点で入っている受注と、今月中に入る予定の受注を合わせて、だいたいこのくらいという予想を立てます。
7月以降の売上についても、おおよその見通しはついているはずですから、それに基づいて予想を立てていけばいいのです。
少し難しい作業ですから、税理士やコンサルタントに相談して、手助けをしてもらいながら数字を埋めていくといいでしょう。
決まった形式はなく、社長の考えがわかるものならOK
次に、経営改善計画書です。これも決まった形式はなく、現在の経営状況をどのような手段や方法で改善していくつもりなのか、社長の考えがわかればOKです。
ポイントは、次の3点です。
●経営改善のために、どんな対策を行うか
具体的に収益アップにつながる対策を書きます。間違っても「景気が回復するのを待ちます」とか「営業マンに頑張らせます」とかの他力本願ではダメです。
たとえば営業に力を入れるなら、「営業マンの採用を1名増やしてマンパワーを上げる」とか「営業の仕組みをこのように変える」とかいった、〝実際にやること〟を書きます。
古くなった店舗を改装するといった施策や、新しい仕入れ先を開拓するといった施策、業績の悪い部門を閉鎖する施策なども説得力があります。難しく考える必要はないので、自分がこれからやろうとしていることを素直に書き出してください。
●いつまでにするか、結果がいつ出るか
そして、それらの対策をいつまでにやるのか、対策の成果がいつ出るのかといった見通しも明記してください。「1年目はこうで、2年目はこう」というふうに1年ごとの変化や成長がわかるようにしましょう。
●銀行にどうしてほしいのか
最後は、この計画を進行するために、銀行に何をしてほしいのかを具体的に書きます。いくらのお金を貸してほしいのか、どのくらいの期間で借りたいのか、返済額をいくらでスタートしたいのか。そういったことも書きましょう。
借入状況を把握して銀行との融資交渉に備える
ちなみに借入金の限度額・理想値を図表3に示しておきます。参考にしてみてください。
[図表3]借入金の限度額・理想値
ここまで作っておけば、この後の作業を税理士や経営コンサルタントに任せても、社長の意思を反映した事業計画書を作ってくれるはずです。
また、銀行融資の交渉に出向いたときも、社長自身の言葉で要領よく内容を伝えることができます。