インフラ投資の回復で固定資産投資の伸びが拡大

緩やかな減速が続く中国経済(2018年11月)/デイリーマーケットレポート

三井住友アセットマネジメント株式会社 調査部
インフラ投資の回復で固定資産投資の伸びが拡大

本連載は、三井住友アセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

固定資産投資の伸び拡大

インフラ投資の伸びが回復

 

■中国国家統計局は14日、主要経済指標を発表しました。1~10月の固定資産投資は前年同期比+5.7%と市場予想(ブルームバーグ集計、同+5.5%)を上回り、1~9月(同+5.4%)から伸び率が拡大しました。

 

■固定資産投資の内訳をみると、インフラ投資が同+3.7%と、1~9月(同+3.3%)から加速しました。中国政府による景気刺激策の効果が表れ始めたとみられます。

 

固定資産投資とインフラ投資

(注)データは2015年4月~2018年10月、年初来累計の前年同期比。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは2015年4月~2018年10月、年初来累計の前年同期比。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

鉱工業生産は小幅加速

小売売上高は減速

 

■10月の鉱工業生産は前年同月比+5.9%と市場予想を上回り、9月(同+5.8%)から伸び率がわずかに拡大しました。インフラ投資の増加でセメントや鉄鋼の生産が堅調でした。

 

■一方、10月の小売売上高は前年同月比+8.6%と、市場予想の同+9.2%を下回り、9月(同+9.2%)から伸び率が縮小しました。11月のインターネット通販の大規模セールを前に、買い控えが起きた可能性があります。

 

鉱工業生産と小売売上高

(注)データは2015年4月~2018年10月、前年同月比。1、2月は1~2月の年初来累計の前年同期比。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成
(注)データは2015年4月~2018年10月、前年同月比。
   1、2月は1~2月の年初来累計の前年同期比。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友アセットマネジメント作成

 

 

緩やかな景気減速が続く

 

■10月の主要経済指標は、小売売上高が下振れたものの、インフラ投資の持ち直しなどから全体としては目立った減速がみられませんでした。これらの指標の発表を受けた、14日午前の中国株式市場の上海総合指数は、前日比ほぼ横ばいで引けました。

 

■中国政府は米国との貿易摩擦の長期化を想定して、来年3月の全人代で19年の成長率目標を18年の6.5%前後から、6.0~6.5%のレンジへ下方修正すると見込まれます。景気失速は避けるものの、必要以上に財政を拡大しないように政策調整を行うと考えられ、今後も景気は緩やかな減速が続くとみられます。

 

(2018年11月14日)

 

関連マーケットレポート

2018年11月14日 中国の消費パワーを映す『独身の日』の活況
2018年11月07日 中国株式市場の動向(2018年11月)

●当資料は、情報提供を目的として、三井住友アセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
●当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、三井住友アセットマネジメント、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
●当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
●当資料は三井住友アセットマネジメントが信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
●当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
●当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録