本記事では、雑誌やインターネットの「保険特集」について、信用に足る情報かどうかを検証します。

「保険特集」…監修者の意見は本当に中立なのか?

「保険の営業マンと話していると、言葉巧みに丸め込まれて保険に入れられそうだから、自分で調べたい」といって、雑誌の保険特集などで研究しようとする人もいると思います。

 

ただし、雑誌の保険特集も、たいていはファイナンシャルプランナーなど、保険会社とつながりのある人が監修をしています。結局、ファイナンシャルプランナーは保険の営業マンでもあるので、中立な立場からいい商品をピックアップしているという触れ込みでも、自分たちが扱っている商品を推薦している場合が多いでしょう。

 

このような特集では、ランキングが非常に重要になってきますが、上位にそのファイナンシャルプランナーが売っている商品がランクインする可能性は、かなり高いといえます。

 

つまり、保険を売っているファイナンシャルプランナーが評者を務めている時点で、その雑誌の記事全体にバイアスがかかっているわけです。

 

雑誌はそれ自体の売り上げだけでなく、広告収入によって大きな利益を得ています。保険の特集をするような雑誌の場合、まず間違いなく何らかの保険会社の広告は載っているはずです。

 

雑誌の側としては、お金を払って広告を出してくれている保険会社を無下にはできないので、おのずと「あの会社の商品を悪く言うのはやめておこう」ということになります。ここでもまた一つ、情報操作が行われているのです。

ネットの比較サイトやランキングサイトにも注意

また、インターネットを見ていると、よく保険の比較サイトやランキングサイトにぶつかります。参考にしている人も多いのではないでしょうか?

 

非常に便利で心強い存在のように思えますが、試しに某保険比較サイトの運営会社の株主構成を見てみると、10社中の過半数は、同系列の保険会社だった……といった場合もありました。そうなってくると、そのランキングの信憑性は疑わしいといわざるを得ないでしょう。

 

このように、雑誌やさまざまなサイトが伝えている保険情報には、多くの偏りがあるはずなのです。情報を鵜呑みにしてはいけません。情報操作は、見えないところで少なからず行われていると考えるべきです。

 

保険代理店などに保険特集の雑誌を持参して、「すみません、この商品がいいって聞いたんですけど」などと相談する人は大勢いますが、情報操作に踊らされていると、自分に合った保険を選ぶことはできないのです。

「情報弱者」にならないためにできること

私は保険を売っている人を全面的に批判したいわけではありません。商品を売るのが仕事であるなら、そのために全力を尽くすのは当然です。それに対し、保険を買う側が、きちんとした情報を持っていないことにこそ問題があります。

 

今は、自分で考えて行動しないと損をする時代です。「情報弱者」という言葉がありますが、あふれる情報の中から正しいものを取捨選択する力がないと、情報弱者と決めつけられ、「努力しない自分が悪い」ということになってしまいます。

 

ですから、保険に入る際にも自分から必要な情報を取りにいかないと、営業マンのすすめるままに、必要のない大量の保険に加入してしまうことになります。

 

自分のお金を効率的に使いたいなら、営業マンに負けないだけの勉強はすべきです。それができない、したくないということは、自分が勉強する手間を惜しんで、営業マンの知識を借用することになりますから、もう手間賃と割り切って、高い手数料を支払うしかないでしょう。

 

それがイヤなら、やはり自分で勉強してみることです。勉強して情報を仕入れると、営業マンが口にしなかった真実が見えてきます。そうすれば、保険以外の選択肢も確実に見えてくるはずです。本連載で紹介した公的健康保険の保障や、会社の社内制度、団体保険などに関しては、真っ先に調べていただきたいところです。

 

ただし、勉強はしたけれど、やっぱり「この営業マンから保険を買いたい」という人も、一定数はいるでしょう。私は、自分で調べて、最低限の保険が必要と判断したうえで、受取人もきちんと理解している場合、インターネットの安い保険に入るのがベターだと考えています。しかし、営業マンにほれ込む人というのは多いものです。

 

保険業界の離職率はかなり高いので、営業マンが退職してしまったらどうするかを念頭に置いておく必要はあるでしょう。転職先の商品をすすめられることもあります。万が一亡くなった場合に、保険金の受取人が何の保険をいつ請求できるかフォローしてくれる人もいなくなります。

 

重要なのは、情報源を営業マンの営業トーク一本に絞らないことです。あくまで自分で情報を取りにいったうえで、保険に入るかどうかを考える。その姿勢が必ず求められます。

 

通常は、勉強していくと、保険にそこまで頼らなくてもいいし、効率的に蓄財をしていくためには、ほかの方法を選んだほうがいいはずだ―という結論に落ち着くはずです。

 

 

工藤 将太郎

株式会社クレア・ライフ・パートナーズ 代表取締役社長

CLP International Ltd. プレジデント&CEO

 

本連載は、2014年8月30日刊行の書籍『30歳からはじめる一生お金に困らない蓄財術』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。本書は情報の提供および学習を主な目的としたものであり、著者独自の調査に基づいて執筆されています。実際の投資の成功を保証するものではなく、投資の際は必ずご自身の責任と判断で行ってください。本書の内容に関して運用した結果については、著者および幻冬舎グループはいかなる責任も負いかねます。本書に記載されているデータや法令等は、いずれも執筆当時のものであり、今後変更されることがあります。

30歳からはじめる 一生お金に困らない蓄財術

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工藤 将太郎

幻冬舎メディアコンサルティング

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