ちなみに、CM以外のマス広告についても、具体的には雑誌広告や新聞広告に関しても一般消費者の目に触れる機会はかつてに比べて確実に減っています。
グラフ5は出版物の推定販売額の推移を示したものです。データをまとめた公益社団法人全国出版協会によれば、月刊誌・週刊誌ともに1997年をピークに、以降19年連続のマイナスであり、販売・広告ともに不振の状況に陥っています。休刊点数が創刊点数を上回り、総銘柄数は10年連続で減少しています。
[グラフ5]出版物の推定販売額の推移
また、一般社団法人日本新聞協会の統計によれば、新聞(一般紙)の発行部数は2000年は4740万1669部でしたが、2017年には3876万3641部にまで減少しています。わずか17年で実に1000万部近くも減ってしまったのです。
このように、雑誌も新聞も部数が右肩下がりで減り続けているのですから、当然、雑誌
広告、新聞広告に接する人の数も減少していることになります。
さらにいえば、人々はマス広告に限らず、マスメディアそのものに対して不信感を強め
ているようです。
野村総合研究所の調査では、メディアに対する信頼度が低下傾向にあることが示されています。グラフ6のように、新聞に対する信頼度は70%を下回っていますし、テレビ(民放)については信頼をしていると回答する人が50%を下回っています。
[グラフ6]メディアに対する信頼度の推移
価値観が多様化する中で、〝マス的なもの〟を「一元的な価値観を一方的に押し付けてくるもの」として消極的にとらえる傾向が日本人の間で強まっているのでしょう。
山口 恵市
株式会社ファヴールマルシェ 代表取締役