基本は「デザイン性」と「機能性」の両立
これからの不動産投資では、女性をターゲットとして意識することが非常に重要となります。特に、新築RCマンションを運用するのであれば、20代30代の単身女性に狙いを定めることをお勧めします。
では、そのような女性たちの心をつかむためには、どのような工夫が必要となるのでしょうか。
まず、20代30代の単身女性の多くは、10代の頃に比べれば、収入が増えており、経済的にもゆとりがあるので、自分の生活の基盤となる居住空間を、これまでよりもワンランクアップさせたいという欲求を、一般的に抱いているといえるでしょう。
具体的には、ワンルームでも通常のものよりは面積が広く、また規格品ではなく、デザイン性に富んだオリジナリティのある部屋に住みたいという願望をもっているはずです。そのようなニーズに応えることが、20代30代単身女性をターゲットとする部屋づくりの基本となるでしょう。
ただし、注意が必要となるのは、デザイン性が求められているその一方で、やはり機能性も同様に重視されているということです。
これまで、多数の物件を管理してきた経験からいえば、外観、内装のデザインがいわゆる今風のおしゃれなマンションであっても、機能性が劣っていると、退去率が高く、1年以内に解約される例も少なくありません。
初めは、デザイナーズマンションであることにひかれて住み始めても、暮らしていく中で、「いろいろと使いづらいところがあるわ」などと感じるようになると、我慢できなくなるのが女性の心理なのです。
もっとも、デザイン性と機能性を両立しようとすると、どちらか一方をある程度犠牲にせざるを得ないところも出てきます。そうした難しい問題をどう解決していくのかが、マンションづくりの際には大きな課題となるでしょう。
何に手間をかけるべきか、設計の段階から細かく考える
また、費用対効果も考えなければなりません。建物に費用をかければかけただけ、それに比例する形で家賃収入が上がればよいのでしょうが、もちろん、その保証はありません。エントランスを例にすると、見映えを考えれば、凝った意匠にして、なおかつスペースをゆったりと取ることが望ましいはずです。
実際、エントランスがしゃれていて広々としている建物は、居室のクオリティも高いという印象を与えることが多く、入居希望者に対してプラスの影響をもたらします。他方で、エントランスにスペースを取ることは、その分、居住部分にあてられるスペースが減ることを意味します。つまりは、賃料収入の面ではマイナスとなるわけです。
また、ベランダを設置する場合にも同様の問題が起こりえます。女性の入居者にとって、洗濯物を干せるようなベランダがあることは、部屋選びの際の重要な判断材料のひとつとなりますが、物件によっては、各戸にベランダをつけると部屋が極端に狭くなるおそれがあるでしょう。
そこで、そのような場合には、無理にベランダを設置せず、代わりに浴室乾燥機をつけることを検討してみてもよいかもしれません。
こうしたことなどを考慮しながら、何に手間や、時間、コストをかけるべきか、あるいは、何にかけなくてもよいのかということを、設計の段階から細かく考えておく必要があります。
この話は次回に続きます。