地盤が強く、浸水履歴も少ない城南エリア
城南エリアの地盤は、関東ローム層と呼ばれる地層からできており、比較的強固であるといわれています。それを裏づけるかのように、私たちがこの地域で手がけてきた一棟型マンションで、基礎工事の際に杭を18m以上打っているものはひとつもありません。
また、各自治体の公表しているハザードマップでは地震の際に気がかりな浸水の履歴が示されており、どの地域で浸水が起きているのかが一目瞭然となっています(たとえば、大田区の一部では、半分の地域で液状化が起こる可能性があるといわれています)。
しかし、城南エリアはハザードマップで見ると、浸水履歴が少ないことがわかります。
こうした"地震に対する強さ〟が改めて見直されたのか、震災後、都心のタワー型マンションから城南エリアの中低層マンションに居住者が転出する動きが顕著に現れています。
たとえば、住友不動産販売が手がけている「ラ・トゥール代官山」という139戸の賃貸マンションが渋谷区にあります。月額家賃100万円以上の超高級賃貸マンションで、震災前には、30戸近く空室がありました。
しかし、震災後には空室がゼロとなり、今でも事実上、満室の状態を保っています。
今後、震災リスクへの警戒心がさらに強まることが予想されています。地震への不安をもつ人にとっては、城南エリアはこれからますます有力な賃貸物件の住み替えの候補地として意識されることになるはずです。
他地域と比べ、年間を通して賃貸ニーズが安定
賃貸ニーズが特定の時期に偏りがちな学生街などは、賃貸マンションの立地として必ずしも適切ではありませんが、城南エリアは基本的に、1年間を通して賃貸のニーズが安定して存在する地域です。
たとえば、私どもがこのエリア内で取り扱っている賃貸物件のほとんどは、入居者から退去するとの通知を受けた場合でも、その退去時までに「借りたい」という申し込みの予約が入ってきます。
また、ご参考までに、賃貸ニーズの安定性を客観的に判断するため、城南エリアのワンルームマンションと別のエリアにある同じタイプの物件とで賃料を比べてみましょう。
まず、賃貸住宅の検索サイトを利用して、城南エリアについては、三軒茶屋駅から徒歩7分の場所にある家賃11万3000円(26.23㎡。2007年2月築)の物件をピックアップしてみました。
一方、比較対象として、同じ検索サイトから、2008年1月に建てられた浅草駅徒歩1分の場所にある25.62㎡の物件を取り上げてみます。このワンルームマンションの家賃は8万5000円です。
両者の築年数はさほど変わりません。また、規模もほとんど同じです。しかし、駅からの距離は浅草の物件の方がはるかに近いといえるでしょう。
にもかかわらず、家賃には3万近くの開きがあるのです。逆にいえば、城南エリアは、それだけ多くの家賃を余分に支払ってでも住みたいという人が、常に一定数存在することが推測できるのではないでしょうか。