「資金調達」というと、起業家・経営者の多くは銀行等の金融機関を思い浮かべるのではないでしょうか。しかし、近年ではその方法も多様化しています。本記事では、「エンジェル投資家」を活用した資金調達の方法について、そのメリット・デメリットも含めて解説します。

支援で起業に成功したら、今度は後進のサポートを

エンジェル投資家と起業家の双方が満足のいく結果を出すには、資金以外の面で強い信頼関係を結ぶことです。双方の信頼関係がなければ、事業を軌道に乗せることはできません。

 

エンジェル投資家側も資金以外のネットワークや情報を提供するのはもちろん、投資先への理解を深めることが重要であり、起業家側はそういう姿勢を持つエンジェルを探すべきです。

 

エンジェル投資家から見ると、スタートアップへの投資は、企業の成長や発展を見届ける喜びや楽しみがあります。また、自分のアドバイスやノウハウ、人脈を次世代につなぐという、影響力の活かせる投資方法です。こういう喜びや楽しみがあるので、既にアメリカやヨーロッパでは盛んなのです。今後は日本をはじめ、アジアでも大きなエンジェル投資家のネットワークが築かれることでしょう。

 

支援を受けて起業に成功したら、自らがエンジェル投資家となって、後進のサポートをすることをお勧めします。

投資への税金優遇が受けられるよう、法整備も進む

エンジェルによる投資は、産業の発展や景気の回復に大きく役立ちます。このため、日本でも、エンジェル投資に対する税金の優遇が受けられるように法整備が進んでいます。

 

投資家は中小企業庁が認可するベンチャーに投資をすることで、税金の控除が受けられます。この制度は、通称「エンジェル税制」と呼ばれており、投資時点では以下の2種類の優遇措置が設けられています。

 

●優遇措置A(設立3年未満の企業が対象)

ベンチャー企業への投資額から2000円引いた額を、その年の総所得額から控除(控除対象となる投資額の上限は、総所得金額×40%と1000万円のいずれか低いほう)

 

●優遇措置B(設立10年未満の企業が対象)

ベンチャー企業への投資額全額を、その年の他の株式譲渡益から控除(控除対象となる投資額の上限なし)

 

また「未上場ベンチャー企業株式の売却により生じた損失を、その年の他の株式譲渡益と通算(相殺)できるだけでなく、その年に通算(相殺)しきれなかった損失については、翌年以降3年にわたって、順次株式譲渡益と通算(相殺)」できます(中小企業庁のWebサイトより)。制度は年々変わりますので、詳細は中小企業庁のWebサイトを参照してください。

 

エンジェル税制の確定申告手続きは以下の通りです。

 

①ベンチャー企業が、中小企業庁認可の企業であることを確認する

②経済産業省認可による認定後、確認書が発行される

③ベンチャー企業から、投資家に向けて必要な書類(確定申告)を渡す

④投資家は確定申告の際「エンジェル税制」の必要書類を提出する

 

エンジェル税制の手続きは難しくありません。最近では手続きを簡素化するため、中小企業庁で「申請用紙のダウンロード」ページを設けています。手続きの際には、投資先に依頼して書類を受け取ってください。

 

 

福田 拓哉

株式会社ユービジョン 代表取締役

経営者が知らない 資金調達8つの方法

経営者が知らない 資金調達8つの方法

福田 拓哉

幻冬舎メディアコンサルティング

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