今回は、相続税の試算にあたって必要になることは何かを考えてみます。 ※本連載は、ともに行政書士・社会保険労務士である、井出誠氏と長岡俊行氏の最新刊、2015年11月30日に刊行された『相続川柳――相続を 気軽に学ぶ 五七五』(東京堂出版)の中から一部を抜粋し、知っておきたい相続の知識を伝授します。

 

日々お受けする相続に関する質問でとても多いのが、「ウチは相続税かかりますかね?」というものです。遺産の分割割合や分割方法以前に、まずはここを聞いておきたいという方、結構多いです。出て行くお金に関しては、誰しも関心が高いものですね。

 

また昨今、相続税の基礎控除額が変更されたことにより、より一層、相続税に関心を持たれる方が増えてきたように思います。自分が亡くなった際、相続税はかかるのか、かからないのか。もしかかるならいくらかかるのか単刀直入に教えて欲しい。というものなのですが、これに関しては、即答できるほど単純なものではありません。

 

相続税の計算は、基礎控除をはじめ、評価減の特例や税額軽減の特例等が絡んできます。また、生命保険や死亡退職金など対象財産によっては、一定の非課税額もあります。これら全てを把握したうえで算出する必要がありますので、結構複雑なんです。そもそも、相続税の試算を業務として行えるのは、税理士だけなのです。

 

さて、基礎控除や評価減及び税額軽減の特例等を計算するにも、どのような相続財産があるのかが決まっていなければ、話が進みません。

 

相続税がかかるのか? かかるならいくらかかるのかを知りたい方は、まずはご自身の財産の棚卸しを行う必要があります。一口に財産といっても、相続税の対象となる財産と、対象にならない財産もありますので、これらを整理して財産目録を作成することから始めていきましょう。

 

 

人の死亡を原因として一定の財産を取得した個人に課される税金、それが相続税です。遺産相続において、相続税の課税対象となる財産が基礎控除額を超えている場合には、相続の開始があったことを知った日の翌日から十ヶ月以内に相続税の申告と納税が必要となります。

 

相続税を課税される方が、期限までに納税しなかった場合は、延滞税や無申告加算税等が課される可能性があるだけでなく、悪質なケースでは逮捕されてしまう場合もありますのでご注意ください。

 

さて、その相続税の納付についてですが、金銭で一括納付するのが原則です。つまり、納期限内に全額を現金等で支払う必要があるわけです。

 

しかし、納税額がかなりの額になってしまって全額は厳しいとか、相続したのは土地建物だけなので現金納付は厳しいなどといったケースももちろん出てきます。そんなときは、一定の条件を満たすことで、一度に全額をではなく、分割して支払う「延納」や、相続した不動産などの現物で支払う「物納」といった納付方法の特例が認められるケースもあります。

 

ただし、制度改正後、「物納」に関する要件は厳格になり、「物納」での納税はなかなか厳しくなっているとも聞きます。「困ったら最悪物納すればいいんでしょ」と一昔前のようには行かなくなっているようです。

相続川柳  相続を 気軽に学ぶ 五七五

相続川柳 相続を 気軽に学ぶ 五七五

井出 誠・長岡 俊行

東京堂出版

右肩上がりの高齢化、終活への関心が高まるなか、難しいとっつきにくい内容である「遺言・相続・成年後見・終活」などを、17文字の川柳(100句)を題目として、気軽に楽しく分かりやすく解説。単に知識の提供だけではなく楽しく…

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