税務調査に入る段階で、税務署はすでに申告内容にほころびを見つけ、指摘材料をつかんでいることがほとんどです。ですので、税務調査を切り抜けるには、不明点のないよう、申告書を完璧に仕上げることが重要となります。ところが、「相続税の申告書」となると、多くの税理士にとって経験が少なく、苦手な人も少なくありません。そこで本記事では、相続税の申告書を作成する際の注意点を取り上げます。

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税務調査に入る段階で指摘材料はつかんでいる!?

国税庁の報告によれば、税務調査の対象となるのは、平成27年度中の税務調査件数で1万1,935件。調査対象者が平成26年に申告した人と仮定すると、申告件数に占める割合は21.2%でした。これは、実に4〜5人に1人以上が税務調査を受けている計算になります。なお、税務調査が入った場合、申告漏れが発見される割合は極めて高く、80%強という調査結果が出ています。

 

税務署は「これはいける!」と思った申告内容のほころびについて、ありとあらゆる手段を使って徹底的に調べた上で税務調査に入ります。税務調査に入った段階で、ほとんど指摘材料はつかんでいると考えていいでしょう。

 

税務調査をうまく切り抜けたいと思ったら、まずは調査そのものを未然に防ぐようにするのが最善の策なのです。そのためには、相続税の申告書に不明点のないよう、完璧に仕上げておくことが非常に重要になってきます。

 

 

それができるのは、相続税の案件を多数手がけた税理士だけです。相続税をたくさん取り扱った税理士ならば、税務調査の立ち会いも数多く経験しています。税務調査が入ることになったときに、相続税に詳しいプロがそばにいてくれたら、これほど心強いことはありません。

 

「うちでお願いしている税理士に頼むことにしよう」。なかには、そう考える人もいることでしょう。しかし、「親の代から世話になっている税理士だから」、「いつも確定申告を頼んでいるから」という理由だけで、相続税の申告を依頼するのはちょっと考えものです。

税理士にとって相続税申告はイレギュラーな仕事

多くの人は「税理士は税務のプロなのだから、相続税についても税理士に任せておけば間違いない」と思っていますが、そうした認識自体を改めたほうがいいかもしれません。なぜならば多くの税理士にとって相続税の申告は、ほとんど未知の分野といっても過言ではないからです。税理士の主な仕事は、帳簿付けと決算および確定申告です。相続税の申告は、極めてイレギュラーな業務なのです。

 

そもそも相続税の申告自体、数は非常に少ないものです。相続税が発生するのは、税制改正前ではわずか4%程度、税制改正後でも8.0%にすぎません。その少ないパイが、税理士全体に都合よく行き渡るはずがありません。たまたま回ってきたとしても、年に2〜3件あればいいところでしょう。そうした税理士にとって、相続税の申告はイレギュラーで慣れない仕事です。慣れない仕事は無難にすませたいという気持ちが先に立ち、お客さまの立場に立って考えることができなくなってしまう可能性があります。

 

また、経験の絶対値が少ないために、お客さまからの質問にもうまく答えられない税理士も少なからずいるようです。筆者のところには、毎年、「なじみの税理士さんに相続の相談をしたのですが、相続は苦手のようで、満足のいく答えを返してくれないんです。○○さんから先生をご紹介いただき、ご連絡を差し上げました」とご相談に来られる方がたくさんいます。こうした方たちのお話を聞くたび、「やはり相続税に詳しい税理士はそう多くはないのだな」という思いを新たにします。

 

国税庁の調べでは4〜5人に1人が税務調査を受けていることが報告されていると申し上げましたが、私の事務所では年数十件におよぶ相続税の申告に対して、税務調査が入る割合は、毎年ほんの数%です。

 

実は、申告書の作り方や提出書類の作り方で、税務調査が入る確率を格段と下げることができます。相続税の申告に関しては、まさに経験がものをいうのです。この数字から見ても、いかに適切な知識とノウハウが大切か、おわかりいただけるのではないでしょうか。

 

 

 

服部 誠

税理士法人レガート 代表社員・税理士

 

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