商品先物取引の最大の特徴は「決済期限」がある点
前回の続きです。
次に、商品(コモディティ)についてです。
具体的な商品の種類としては、主に次のようなものが挙げられます。
●貴金属:金、銀、プラチナ(白金)
●エネルギー:原油、ガソリン、天然ガスなど
●農産物:小麦、大豆、トウモロコシ、コーヒー、粗糖など
●畜産物:牛、豚肉など
これらの商品は、基本的には先物取引が主流となっていますが、例えば金やプラチナでは、地金(じがね)の積み立て投資や、ETFへの投資なども一般的なものとなっています。
ここで、商品の先物取引と聞くと、危険なイメージを持たれる方もいるかもしれません。
その背景には、商品先物取引では、FXと同じようにレバレッジを効かせて取引できるということがあります。
商品の種類やその時の相場状況によっても異なるのですが、商品先物取引では、数倍から数十倍のレバレッジを効かせることができるのです。
ただ、これもFXと同様で、レバレッジを抑えればそこまでリスクも高くはなりません。
そして、商品先物取引の最大の特徴は何といっても、取引の決済期限があることです。
この決済期限のことを「限月(げんげつ)」といって、2月、4月、6月・・・などといった具合に、商品ごとにそれぞれ限月が決まっているのです。
また、限月の中でも、決済期限が近いものを「期近(きぢか)」、遠いものを「期先(きさき)」と呼びます。
つまり、一つの商品に対して、決済期限の異なる複数の市場が立っているようなイメージになります。
従って、商品先物取引を行う際には、どの限月で取引するかをまず決める必要があるのですが、一般的には決済期限の遠い期先の限月を選ぶことが多いといえます。
なお、ほとんどの個人投資家は、決済期限までに反対売買によって決済をすることになりますが、商品先物取引では期限までに決済をせずに、「現受け」といって商品の現物を受け取ることもできるのです。
さて、このように商品先物取引に限月があることは、面倒なだけのように思われるかもしれません。
しかし、この限月があることによって多様な取引戦略をとることができるのです。
というのも、同じ商品であっても限月によって価格が異なってくるため、この価格差(サヤ)を利用して様々な投資戦略を立てることができるからです。
また、同一商品の限月間に限らず、金とプラチナ(白金)、原油とガソリンなどのように、似たような値動きをする商品間の価格差に着目することもあります。
こういった価格差に着目した取引戦略は「サヤ取り」と呼ばれ、商品先物取引における代表的な投資戦略となっているのです。
もし興味のある方は、「サヤ取り」について詳しく書かれた書籍もありますので、そういったものを参考にしていただけたらと思います。
分散投資の一環なら、国内外の商品ETFで十分
では、商品先物取引に関しては、どのように考えればよいのでしょうか。
商品先物取引では、全体的に取引単位が大きく、売買代金が最低でも数十万円から数百万円にもなります。
実際にはレバレッジを効かせて、少ない証拠金で取引ができるとはいえ、リスクを抑えて投資するには、ある程度まとまった資金が必要になってきます。
また、限月の存在があることからも、商品先物取引はやや敷居の高い投資手段であるといった感は否めません。
そこで、少額から、決済期限の心配をすることなく商品へ投資する手段としては、やはり商品のETFが挙げられます。
商品のETFには、金や原油など個別の商品を対象としたものから、貴金属やエネルギー、農産物などのバスケット(多数の商品をまとめたもの)を対象としたもの、さらにほぼ全ての商品をカバーする商品指数に連動するように設計されたETFなどがあります。
ただ、特に国内の商品ETFには流動性の極端に低いものが目立つため、実際に売買に値する国内の商品ETFというのは大分限られてきてしまいます。
また、海外のETFに関しても商品ETFの種類は割と少ないため、商品先物取引と比較すると投資戦略の選択幅はかなり狭いものとなってしまいます。
ですが、分散投資の一環として商品に投資するというぶんには、国内外の商品ETFを利用するだけで全く問題ないでしょう。