投資資金の中心は、世界の株式に連動するETF
ここでは、ポートフォリオの具体例を資金別に見ていきます。
具体的には、運用資金を30万円、100万円、300万円、1000万円の場合に分けて示してあります。
ここまで書いてきたように、現金比率は50%とし、残りの50%は世界の株式に連動するETFが中心となります。
そこから運用資金に応じて、新興国株式やREIT(不動産投資信託)、商品(コモディティ)、さらには個別株を加えていくといった考え方でポートフォリオを構築しています。
【運用資金30万円】
運用資金の50%に当たる15万円でETF を購入するため、世界の株式に連動するETFである「VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)」のみで運用します。
●現金:15万円(50%)
●バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF(VT):15万円(50%)
【運用資金100万円】
運用資金30万円のポートフォリオと同様に、世界の株式に連動するETF である「VT」が中心であることは変わりありません。ただ、「VT」では先進国が約9割と高い構成比率を占めています。
そこで、バランスを取る意味合いで、新興国の株式に連動するETFである「VWO(バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ ETF)」を加えたのが、ここで示すポートフォリオになります。
●現金:50万円(50%)
● バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT):35万円(35%)
● バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ ETF(VWO):15万円(15%)
【運用資金300万円】
運用資金100万円のポートフォリオに、米国REIT・金・主要農産物に連動するETFを加えたものになります。
ここで、米国を除く世界のREIT指数に連動するETF「RWX(SPDR ダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステート ETF)」ではなく、米国のREIT指数に連動するETF「RWR(SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF)」を選択しているのには理由があります。
2018 年3月末の世界のREIT市場(約131兆円)における国別の規模を見ると、米国だけで約80兆円と約61%をも占めているのです(ちなみに日本は、約11兆円と9%弱の割合)。
つまり、米国は世界のREIT市場においても中心的地位を占めているということができるのです。
そういったこともあり、ここではREIT として「RWR」を組み入れています。
●現金:150万円(50%)
●バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF(VT):90万円(30%)
● バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ ETF(VWO):15万円(5%)
●SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF(RWR):15万円(5%)
●iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU):15万円(5%)
●パワーシェアーズ DBアグリカルチャー(DBA):15万円(5%)
【運用資金1000万円】
運用資金300万円のポートフォリオに、米国を除く世界のREITと、個別株を加えたものになります。
個別株の選択法については、主旨から外れますので本連載では触れませんが、特に適当なものがなければ、他のETFの比率を増加させたり、新たに別のETFを組み入れてもよいでしょう。
●現金:500万円(50%)
●個別株:150万円(15%)
●バンガード・トータル・ワールド・ストック ETF(VT):250万円(25%)
● バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツ ETF(VWO):20万円(2%)
●SPDR ダウ・ジョーンズ REIT ETF(RWR):20万円(2%)
●SPDR ダウ・ジョーンズ・インターナショナル・リアル・エステート ETF(RWX):20万円(2%)
●iシェアーズ ゴールド・トラスト(IAU):20万円(2%)
●パワーシェアーズ DB アグリカルチャー(DBA):20万円(2%)
ポートフォリオの「期待リターン」を求めるには?
ポートフォリオの具体例を見てきましたが、次に気になるのはやはりポートフォリオの期待リターンでしょう。
そこで、ポートフォリオの期待リターンについて考えていきます。
ポートフォリオの期待リターンを求めるには、その前にポートフォリオを構成する各資産クラスの期待リターンを調べる必要があります。
また、ポートフォリオや各資産クラスのパフォーマンスを評価する際には、期待リターンだけではなく、リスクやシャープ・レシオなどといったものも併せて見ていく必要があります。
詳しくは次回、解説します。