取引所、株の規模、価格水準、個別銘柄・株価指数…
前回の続きです。
株式投資の全体像をざっと摑むために、下記のような4つの観点から株式についてそれぞれ見ていきましょう。
①東京証券取引所:市場第1部、市場第2部、JASDAQ、マザーズ、TOKYO PRO Market
②規模:大型株、中型株、小型株
③価格水準:値嵩(ねがさ)株、中位株、低位株
④個別銘柄と株価指数
まずは①についてですが、日本を代表する証券取引所である東京証券取引所では、市場がいくつかに分けられています。
東京証券取引所の市場第1部は東証1部市場とよくいわれますが、これは大企業向けの市場で、市場第2部(東証2部市場)は中堅企業向けの市場となります。また、JASDAQは新興企業向け、マザーズはベンチャー企業向けの市場です。なお、TOKYO PRO Marketはプロ向けの市場で一般投資家は参加できないので、特に気にする必要はありません。
次に②の規模別は、時価総額や流動性により分類されるものです。
東証1部銘柄のうち、時価総額(発行済み株式数×株価)が大きく、流動性の高い(売買代金が大きい)、上位100銘柄が大型株、それに次ぐ上位400銘柄が中型株、それ以外が小型株と分類されます。
続いて③の価格水準別ですが、これについては何か明確な基準があるわけではなく、株価の高いものを値嵩株、株価の低いものを低位株といいます。
一般的には、株価が500円以下のものを低位株、株価が数千円を超えるようなものを値嵩株と呼ぶことが多いでしょう。中位株は、株価が値嵩株と低位株の間に位置するものになります。
概して、値嵩株は新興企業に多く、低位株は成熟企業に多くなっています。そのため、②と③を対応させた場合には、例えば小型株には低位株ではなく値嵩株が多いといえるのです。
市場全体や特定の銘柄群にまとめて投資することも可能
最後に④についてです。株式市場では、個別銘柄に投資する以外に、市場全体や特定の銘柄群にまとめて投資するようなこともできます。
この株式市場全体や特定の銘柄群の値動きを平均化したものを「株価指数」といいますが、代表的な株価指数には、例えば日本では日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、アメリカではNYダウ(ダウ工業株30種平均)や S&P 500などといったものがあります。
さらに、こうした株価指数のみならず、債券や金・プラチナなどの商品にも株式市場を通して投資することができるのですが、そのための手段として利用されるのが、ETF(Exchange Traded Funds:上場投資信託)と呼ばれるものになります。
ETFは、株価指数や商品などの価格に連動するように設計された金融商品なのです。
また、ETFは、投資信託という名称がついてはいますが、金融機関の窓口で販売されるような投資信託とは異なるものになります。
ETFは上場されているものであるため、証券口座を通して個別銘柄と同じように取引することができるのです。
ETF の特長は何といっても、一般的な投資信託とは対照的に、購入手数料や信託報酬(運用管理手数料)が安いということです。
そして、ETFだけでもかなりの数があるのですが、大きく分類すると次のようになります。
①株式
日本株(市場別、規模別、業種別など)
世界株、米国株、欧州株、ブラジル株、ロシア株、インド株、中国株、マレーシア株、タイ株、韓国株など
②債券
米国債、世界国債、アジア債券、新興国債券など
③商品
金、銀、プラチナ、原油、農産物など
④その他
レバレッジ、インバース、VIX(恐怖指数)など
さらに、ETFには国内のETFだけでなく「海外ETF」もあります。
国内のETFと比較して、海外ETF の方が流動性が高く、信託報酬(運用管理手数料)も低いものが多いため、できれば海外ETFを利用することが望ましいといえます。
実際に、本書で推奨している投資戦略もこの海外ETFを中心としたものとなっています。
そういったことから、海外ETF の取り扱いが多く、売買手数料の安い、SBI証券、楽天証券、マネックス証券のいずれかにとりあえず証券口座を開設しておいていただければと思います。