今週(9/1〜9/7)の国際マーケットレポート
・米国株式市場…半導体関連、ハイテク関連の売りが目立ったが、ほかはもみ合い。7日発表の雇用統計は引き続き堅調。
・日本株式市場…半導体関連株の下げ、日米貿易摩擦の懸念から下げ圧力がかかる。台風21号、北海道胆振東部地震と続いた大災害は市場へも少なからず影響か。
・為替相場…米加の北米自由貿易協定(NAFTA)交渉決裂懸念、日米通商懸念が円買い材料になり、ドル円110円台に軟化。
8月米国雇用統計…失業率3.9%、引き続き好調な数値
今週の米国株式市場は、手掛かり材料も少なく、方向感は出なかった。半導体市況の悪化が伝えられたことで、警戒感から半導体関連株が売られ、ハイテク株も軟調な展開が目立ったが、ほかは、もみ合う展開に終始した。7日に発表される8月米国雇用統計待ちの姿勢であったといえよう。
米労働省が昨夜7日に発表した8月の米国雇用統計(速報値)は、非農業部門の就業者数が季節調整済みで前月比20万1,000人の増加だった。7月の14万7,000人増を上回る数字で、雇用情勢が引き続き好調なことを示したといえるだろう。失業率も予想通り3.9%で、完全雇用状態を肯定するような数字だった。
雇用統計発表を受けての市場の動き、詳細の分析に関しては、次回(9月10日、月曜日更新)にコメントする。
日本の株式市場…台風、地震と相次ぐ災害の爪あと
日本の株式市場では、日米貿易摩擦への警戒感や半導体関連株の下げが「下げ圧力」となったほか、相次ぐ災害の企業活動への影響も懸念された。資金流入は、災害復旧や防災対策に関連する銘柄などに限られ、手控えムードの強い相場展開だった。
台風21号や北海道胆振東部地震と大規模な災害が続いたことによる市場のマインド悪化は否定できない。内需関連株を支えてきたインバウンド需要が、災害でマイナスの影響を受けることも、少なからず懸念される。
為替相場…NAFTA再交渉、日米通商懸念の影響は
為替相場では、米国とカナダの北米自由貿易協定(NAFTA)交渉が、再交渉に持ち込まれ、決裂懸念が強まっていることや、トランプ米大統領が日米間でも通商問題を取り上げ、強硬姿勢でのぞむことを示唆しているとの報道が円買い材料とされ、ドル円が110円台に軟化した。
米国とカナダの交渉は、最終的には合意形成できるとの、トランプ大統領のコメントも伝えられたが、トルドーカナダ首相は国内での批判も強まっているだけに、どう決着をつけるのか、不透明感は強い。
7日に発表された8月米雇用統計(速報値)からは、これまでのとおり米国経済の成長が確かな足取りであることが見てとれる。情勢的には不安定要素を生み出すことの多いトランプ政権だが、足元の数値では堅調さを継続しているのも事実であろう。
長谷川 建一
Nippon Wealth Limited, a Restricted Licence Bank(NWB/日本ウェルス) CIO