自宅の土地の1/3を次男が、2/3を長男が相続
CASE STUDY:川村さんの場合
4983万円の節税に成功
課題:自宅の土地が広いため分筆して分ける用意をした
川村さんは、数年前に夫を亡くしました。そのときに確定申告を依頼している税理士に相続に関する手続きを依頼しました。自宅の土地が一番大きな財産でしたが、配偶者控除の特例を活かすため川村さんが相続しました。
子供はそれぞれ独立しているので、川村さんは一人暮らしとなりました。その後、次男が家を建てたいと希望し、土地を3つに分筆して、右端に次男一家が住み始めました。そのときに子供が将来的に1区画ずつ相続するようにと考えましたが、本当にそれでいいのか思案しているところでした。
また、所有するアパートも空室が多く悩みの種となっていました。
★STEP 1:自宅の土地を活用し小規模宅地等の特例を利用★
まずは、生前対策を取らずにできる節税として、自宅に小規模宅地等の特例を適用することが考えられます。そのためには遺産分割の整理が必要です。
この機に親子で話し合い、自宅は川村さんと長男一家が住み、長男が相続していくようにしました。次男はすでに自宅の土地として使用しているところを相続、長女は嫁いでいるので、収益不動産を相続することで合意が得られたのです。
これにより長男が相続する自宅部分の土地に小規模宅地等の特例(330㎡まで80%減)を適用することを想定し、金額にして3360万円の減額が可能になりました。
古いアパートを売却し、好立地のマンション2室を購入
★STEP 2:アパートを売って別の立地に買い替える★
別の土地に所有しているアパート8世帯は、最寄り駅から徒歩20分の立地で、築年数も20年以上で、入居者が退去した後は空室のままでした。このまま賃貸経営をするには、相当な修繕費をかける必要があります。また、駅までの距離や周辺の環境から、リフォームや建て替えよりも売却することが妥当だと判断しました。
ただし、まだ亡夫名義のままでしたので、川村さんが相続し、3カ月程度で売却が完了しました。売却代金と有価証券の一部も換金して足し、立地の良いマンションを2室購入することにしました。
1つにまとめるよりは、売却、賃貸しやすい価格や広さにすることで、維持しやすくなったのです。長女はこれを相続することに決めました。
STEP1・2 小規模宅地等の特例利用と老朽化アパートの売却
賃貸住宅兼自宅の建設により、節税効果は大きくなる
★STEP 3:積極的な不動産活用で相続税をなくす★
自宅の土地は当初、3つに分けるつもりでしたが、賃貸住宅を建てるには土地が広いほうが、家賃収入や入居者募集の効率が良いことから、次男が家を建てている土地以外に残る2区画を活用することを提案しました。
つまり、長男が相続するのは自宅の土地の3分の2となります。そこに新たに賃貸住宅兼自宅の建物を建てるようにしたのです。具体的には1、2階を賃貸住宅、3階を川村さんと長男の自宅にしました。川村さんの老後は長男家族が見てくれるので不安も解消されました。しかも、長男には家賃収入が入ってきますので、これが土地を所有する価値となります。
STEP3 自宅を賃貸併用住宅に建て替える
賃貸住宅兼自宅の建設で、小規模宅地等の特例が利用できるようになり、賃貸物件であることから貸家建付地評価もできるため、節税効果が大きく、相続税もかからないようにできたのです。
STEP4 節税効果
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士