駐車場を地積規模の大きな宅地の評価で節税
CASE STUDY:竹内さんの場合
地積規模の大きな宅地の評価で節税
相続税額1億625万円→6284万円
[図表1]地積規模の大きな宅地の評価で減らす
課題:駐車場事業を継承 現金は税金でなくなる見込み
長男の竹内さんは、父親の跡を継いで駐車場を運営してきました。父親は、駐車場だけでなく他の事業も手がけていましたが、長引く不況のあおりで経営状況が厳しくなってきたため、駐車場だけに事業を絞っていました。そして、心労がたたったのか、ほどなく病気を発症して亡くなってしまいました。
父親は駐車場の土地以外にも、マンションなどの不動産を所有しています。事業で成功し、見切りも早かったため、現金も多く残していました。しかし、相続税の試算をしてみると現金のほとんどが税金でなくなってしまうことがわかりました。
対策:駐車場は地積規模の大きな宅地の評価ができる
竹内さんの財産で節税の可能性があるのが駐車場の土地でした。その土地は二方の道路に面していますが、400坪以上の面積があるため、現地調査の結果、地積規模の大きな宅地の評価ができると判断しました。全体を駐車場のみの用途で利用していることが幸いし、通常評価の半分程度に下がりました。
遠方の土地は利用されていないため、売却をおすすめしました。幸い、隣地の所有者に購入いただき、購入時の契約書を探してもらったおかげで、譲渡税の節税にもなりました。
相続税:1億625万円 節税:8455万円 納税:2170万円(※配偶者控除軽減適用)
地積規模の大きな宅地の評価と農地の納税猶予で負担減
CASE STUDY:田村さんの場合
地積規模の大きな宅地の評価、納税猶予で節税
相続税額2億90万円→9762万円
[図表2]農地は納税猶予で相続の負担を減らす
課題:農業継続が希望 節税対策はしていなかった
田村さんの父親は、専業農家として土地を守ってきました。長男の田村さんも当然のように農業を継いできましたし、父親が高齢になってからは、会社勤めをしていた田村さんの長男も、仕事を辞めて農業を手伝ってくれるようになりました。農業を継続していくためには農地を残していくのが希望でした。
バブル経済の頃、節税対策として借り入れをしてアパート1棟を建てていますが、それでも所有する土地が多く、十分な節税対策はできていなかったといえます。さらに不安だったのは、父親より母親が先に亡くなり、配偶者控除の特例が使えないことでした。
対策:土地の評価減と猶予で納税を減らす
概算評価をすると財産評価は9億円以上です。全部の土地を現地調査し、駐車場や面積の大きい農地については地積規模の大きな宅地の評価をすることで78%程度の評価に下げられると判断。また、農地は納税猶予の申請をすることで納税の負担を減らします。分割金と納税額の捻出のために、駐車場など3カ所の土地を売却して、順調に完了しました。分割金と納税だけだと1カ所の売却でよかったのですが、手元に残る現金も欲しいということで希望も叶い、大変喜んでいただきました。
相続税:1億7027万円 納税猶予:7265万円 納税:9762万円 節税:1億328万円
自宅から離れた「生産緑地」を売却、納税資金を捻出
CASE STUDY:和田さんの場合
鑑定評価、納税猶予で節税
相続税額1億9960万円億4803万円
[図表3]農地の指定を解除して売却
課題:生産緑地を相続したが農業を継続するか迷っている
和田さんの父親は代々続く農家の長男として土地を受け継いできました。生前対策もしないまま亡くなったので、負債はありませんが、莫大な相続税の納税が必要になっても払えるだけの現金がありません。
生産緑地を指定した農地は30年の営農が原則ですが、相続になれば解除することができます。農地であれば、固定資産税が優遇されており、相続税の納税猶予も受けられます。生涯農業を続けていくには不安があるということで、生産緑地の解除をし、納税用に売却することを提案しました。
対策:納税猶予は3000万円 一番遠い生産緑地を売却
鑑定評価や埋蔵文化財包蔵地の減額で大きく節税できる見込みが立ち、さらに納税猶予を受けると納税額は3646万円となるので、預金で支払える額になります。しかし、将来までにわたる営農は不安があるとのことで、生産緑地指定を解除し、売却して納税することになりました。和田さんの所有地は自宅周辺に集まっているので、近いところは残すことを考えました。生産緑地は、自宅から一番離れた場所で、周辺は閑静な住宅街のため、スムーズに売却でき、生活資金の補塡になりました。
相続税:1億9960万円 納税:7401万円 節税:1億2559万円
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士