土地調査で多数の減額要素が判明
CASE STUDY:原田さんの場合
倍率方式の山村を鑑定評価して節税
相続税額1億3380万円→9730万円
[図表1]調整区域の山林は不動産鑑定評価で減額
課題:1億円以上の納税に頭を悩ます
原田さんの父親は兼業農家で、貸家や駐車場経営をしていました。母親が先に亡くなりましたが、父親は何ら節税対策をしないまま、亡くなってしまいました。負債もなく気持ちは楽ですが、納税できる現金もないため、土地を売却する覚悟をしていました。
相続税が1億円以上といわれたので、税理士に節税してもらいたいと相談したところ、「農家の相続は今まで経験がない」という回答で、節税対策までしてくれそうにもありません。不安を感じた原田さんは、姉のすすめもあり、紹介者を通じて、相談に来られました。
対策:地積規模の大きな宅地の評価、鑑定評価で減額し、売却する
土地の調査をすると、多数減額の要素が見つかりました。駐車場は地積規模の大きな宅地の評価ができ、半分以下の評価に下がり、貸家の立つ土地と調整区域の山林は路線価、倍率方式では評価が高いため、鑑定評価を採用。申告期限まで約半年となった頃に対策を始めたのですが、納税額を出しつつ、申告期限までに土地売却を済ませることができました。1億円以上の納税になるといわれていたところ、大きく節税でき安堵していただきました。
相続税:9730万円 納税猶予:720万円 納税:9010万円 節税:4370万円
鑑定評価の採用で、固定資産税評価額の半分に減額
CASE STUDY:小野さんの場合
建物を鑑定評価して節税
相続税額2538万円→1587万円
[図表2]老朽化した建物は不動産鑑定評価で減額
課題:工場などを相続したが知識がなく途方に暮れていた
小野さんの父親は自営業で、鉄鋼関係の会社を経営していましたが、何ら節税対策をしないまま、亡くなってしまいました。相続の知識もなく途方に暮れていたところ、図書館で本を見て相談に来られました。
対策:建物は鑑定評価、工場跡地や未利用地は売却
現地調査をしてみると、工場として利用していた土地が地積規模の大きな宅地の評価にできることがわかりました。
面積が大きいことと、周辺は住宅地であり、再利用を考えると戸建て住宅が適しているからです。地形も変形で、道路を通して区画割りする必要がある土地です。
最寄り駅近くの所有ビルは昭和50年頃の建築で、建物の固定資産税評価額が2000万円を超えています。鉄筋コンクリート造ながら現在は老朽化しており、そんな価値があるとは思えません。
そこで、鑑定評価を採用しました。不動産鑑定士が作成した鑑定書は、固定資産税評価額の半分の価値が妥当であるとされており、節税につながりました。
自宅と貸地以外は使っていない不動産でしたので、売却を提案しました。3カ所の土地を売却、換金して等分に分けました。
相続税:2538万円 納税:1587万円 節税:951万円
曽根 惠子
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士