「下げ止まったか、まだか」を考えることが大切
【ルール 16】
買うときは2分割またはそれ以上の分割で、細かく分けるときは下値ほど厚く買う徹底した分析と銘柄選定を踏まえ、確信をもってはじめて「買い注文を出すタイミングを計る」ことになる。それでもなお、雑にならないよう気をつけながら、慎重にポジションをつくっていくのだ。
1,000株ずつ買う資金があっても、最初は必ず100株だけ買い、適度に分割していくのだ。
ポジションを持たずに場帳で値動きを見ている状態と、その銘柄をわずか100株でもポジションを持って見ている状況では、感じ方が全くちがうのである。
「買わないうちに上がったら悔しい」などという発想で値動きを見ているうちに「欲しくてたまらない」状態になり、まとめてバンと買ってしまうというのが、よくある行動である。判断の要である感覚が狂わないように、鋭敏になるように、注意を払う必要がある。
「下値ほど厚く買う」とある。分割で買うのだから、買い値は毎回ちがってくる。
単純な2分割を考えてみよう。210円で100株買い、次に200円で100株買ったとする。平均は205円だ。しかし、下値の200円で200株買ったら(合計は300株になる)、平均は203円33銭となり、株数の変化によって平均値を有利にすることができるので、そういう工夫をしなさいということなのだ。
もちろん、絵に描いたように事は運ばないから、あまり神経質になることはない。200株以上買う場合は、分割で丁寧に安値を拾うと理解すればいいだろう。
それよりも、場帳で値動きをどう追うかが問題である。
FAIでは、銘柄選定の段階で慎重に慎重に分析をしているから、選んだ銘柄は「大底をつけ、買い安心」との前提で進めていい。
値動きの波を見ながら、ただひたすら「下げ止まったか、まだか」を考えることが大切だ。最初はわからなくても、真剣に日々の作業を続けていくうちにある程度、感覚でつかめるようになってくる。
低位株は安い位置ほど動きがおとなしく、比較的きれいな上げ下げをみせるから、非常にわかりやすいのである。
チャート分析・慎重な会社の内容検討でリスクを回避
FAIの銘柄選定は、テクニカル分析が主体である。
「現在の株価はすべての情報を織り込んでいる」というのが、テクニカル分析の原則だ。これを土台に、「株価は上げ下げを繰り返す」という単純な理論を前提とし、下げきった銘柄の長期的なトレンドの転換点を見つけようというアプローチが有効と考えるわけだ。
しかし、下げて安値にある銘柄にはそれなりの理由があるわけで、安いものを買えばいい、ということにはならない。安く買い、買ったあと下げなくても、上がらなければ何の意味もない。
また、安値圏から想定外の下げがあれば、上げたときに率のよい低位株だけに被害もバカにならない。倒産してしまう銘柄にぶつかる可能性も、価格の高い銘柄に比べて格段に大きい。
だから、「会社の内容は問題なくても、マーケットの人気で低位に甘んじる期間もある」という、低位株投資を成立させる理屈に頼りきるだけでは、回避できないリスクが残ってしまう。そこで、チャートの分析と併せ、会社の内容も慎重に検討していくのだ。「内容のよい会社が安値に放置されているはずがない」と疑ってみるわけである。
このように、サイアクの事態を回避する「守り」とともに、内容がよくなっていく過程を狙う「攻め」を両立させるために、手間をかけてファンダメンタル分析をしていくのである。
ルール 14~15の解説はあとにして、次回からはルール 17~22のファンダメンタル分析の項目について解説する。