中国株式市場の推移
上海総合指数とMSCIチャイナ指数
7月の中国株は総じて軟調
月下旬に景気対策決定を受けて反発
■7月の中国株式市場は、6日に米政権が中国からの輸入品340億米ドル分に25%の追加関税を発動し、中国政府も同様の報復措置を発動するなど米中貿易摩擦が激化したため、月初から軟調な展開となりました。月中旬にかけても、経済指標の悪化で景気減速懸念が強まったことや、米ドルに対する人民元安が進んだことから、上値の重い展開となりました。しかし、23日に国務院が積極的な財政政策を決定したことや、中国人民銀行が大規模な流動性を供給したことを受けて月下旬にかけて反発し、やや戻して終了しました。
政府が財政政策中心に景気刺激へ
金融政策も緩和方向に修正
■中国の李克強首相は7月23日、国務院常務会議を開催し、景気の予想外の悪化に備えて、主に財政政策を通じた景気対策を打ち出す方針を決定しました。米国との貿易摩擦の影響に備え、構造改革よりも景気安定を優先する姿勢を明らかにしました。また、金融政策については、メリハリをつけるとしながら、中小企業を含む企業部門に対して市場への資金供給を増やす姿勢を示しました。さらに、中国人民銀行は8月3日、人民元売りの為替予約について、残高の20%を「準備金」として課す、人民元安の対抗策を発表しました。
株式市場は徐々に持ち直しへ
■米中貿易摩擦の混迷は暫く続くとみられ、中国株式市場は短期的には不安定さが残る展開も想定されます。ただし、中国政府が景気下支えのため積極的な財政政策を打ち出し、金融を緩和方向に修正する決定をしたことや、中国当局が人民元安に歯止めをかける策を講じていることから、株式市場の下値余地は限られてくるとみています。底堅い経済や産業の高度化の進展などプラス要因は変わらず、株式市場は徐々に持ち直す可能性が高いと思われます。
(2018年08月08日)
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