銀行預金の経験しかない方は元本割れを極端に嫌がりますが、インフレによって銀行預金の価値が毀損するケースもあります。今回は、元本保証だからといって安全・安心とはいえない理由を見ていきます。

元本保証の銀行預金でもインフレが起これば・・・

長期投資を前提にすれば、筆者も初めて安心して日本株への投資を勧めることができます。なぜならば、株式投資は一般的にリスクが比較的高いものと思われていますが、長期的な投資であれば、そのリスクをかなり低いところにまで抑えることができるからです。いってみれば、掟破りのローリスク、ハイリターンを狙えるのが、株の長期投資なのです。その理由を順番に説明していきましょう。

 

投資におけるリスクとは、一般的に言えば、損をすること(元本割れ)です。これまで銀行預金しかしたことのない人は、とにかくこの元本割れを極端に嫌がります。なぜならば、元本割れを経験したことがないからです。銀行預金は少なくとも額面上は元本割れのしない商品なので、当初の額面よりも価格が下がると強く「損をした」と感じてしまうようです。

 

しかし、額面上の元本が保証されていても、インフレによって銀行預金の価値が毀損することはいくらでもあります。ところが、投資初心者は不思議なことに、額面上の元本が保証されていると、どんなに周りの環境が変化していても「損をした」とは感じないようなのです。

名目金利以上の率で増えなければ「損をした」のと同じ

一方で、投資の世界には「機会損失」という言葉があります。どんなに元本が保証されていても、10年間預けて年利0.01%しかつかないような定期預金があったとしたら、解約して他の金融商品を探してみるほうがよいでしょう。

 

経済学の世界では、時間=利益です。ことわざでいうところの「時は金なり(タイム・イズ・マネー)」ではありませんが、お金を銀行や保険会社などの他者に預けるのであれば、時とともに確実に増えるのが当然とされています。

 

そして、名目金利以上の率で増えていかないようであれば、それはどんなに元本保証であっても「損をした」ことと同じなのです。ですから「元本保証」の金融商品とは、決して安心・安全なものではなく、むしろその「保証」のぶん、リターンが低く抑えられていると考えるのがよいでしょう。

本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

インフレ時代の投資入門

インフレ時代の投資入門

杉浦 和也・前野 達志

幻冬舎メディアコンサルティング

仮に今、あなたに1000万円の預金があるとしましょう。安倍内閣が掲げるインフレ目標2%が今後毎年達成された場合、その預金の価値は毎年2%、つまり20万円ずつ目減りしていくことになります。預金の金利はもちろんつきますが、現…

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