今回は、「インターネット口座」の留意点について見ていきます。※本連載は、南青山M’s法律事務所代表・弁護士・公認会計士の眞鍋淳也氏の共著『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社)の中から一部を抜粋し、本人も存在を忘れているなど意図しない場合も含む「隠れ資産」について、その上手な残し方を紹介します。

口座の存在を家族に内緒にするためネットバンクに⁉

すでに触れたように、海外の口座の注意点は、ネット上でのやりとりにかぎられることが多く、通帳もなければ郵送物も届かないという点でした。

 

海外の口座以外にも「ネット上のやりとりのみで管理する」性格の資産がいくつかあります。最たるものが、ネットバンクやネット証券の口座です。

 

ネットバンクやネット証券のサービスは、手数料が安価もしくは無料で、ネットがつながる環境にいれば24時間いつでもどこでも利用できるので、とても便利です。

 

なかには定期的に郵便で明細を送ってくれる会社もありますが、連絡手段をメールに一本化していたり、メール連絡をデフォルト(標準設定)にしていて、希望者だけに郵便で通知しているところが多いようです。

 

このようにペーパーレス化・効率化をはかることで、これらのサービスは、従来よりも手数料を抑えることができています。そのため、郵便での通知には手数料が別途必要となるケースもあり、結局、連絡方法はメールに絞られてしまいます。

 

また、口座の存在を家族に内緒にしたいため、あえて郵便での連絡を断り、メール連絡のみに設定していることもあるでしょう。

 

メールでしか連絡が来ないのであれば、いうまでもなく、そのメールアドレスに届くメールをチェックできなければ、口座の存在を知るすべはありません。チェックできる状態にあったとしても、メールの見落としや、迷惑メールへの誤った振り分けによって、口座の存在自体を忘れていることも考えられます。

 

IDやパスワードを忘れてしまった場合、その旨を問い合わせれば対処法を教えてもらえますが、本人でない場合、セキュリティの面から手間がかかってしまうこともあります。

ネット上のFX取引を行ったまま亡くなったら…

資産運用の手段として、FX(外国為替保証金取引)投資を行っている方もいらっしゃるでしょう。

 

FXも、やはりネット上を取引の中心としています。FXの市場は、月曜日の朝から土曜日の朝までずっと動いています。少し見逃していると、その間に為替相場が大きく変動していることがあり、驚かされます。

 

ご経験のある方ならばよくご存知と思いますが、投資をしている最中、ちょっと目を離したすきに大きくもうけていた、逆に、大損したことをあとから知る羽目になったという事例は、FXにおいてはけっしてめずらしくありません。

 

FX投資をやっているということを家族が知らないままあなたが亡くなったら、しかも、取引を行ったままだったら・・・せっかくのお金がどんどん目減りしていくことになりかねませんね。気づいたときには、元本の何分の一かになっている恐れもあります。

 

もちろん、儲けが出ている可能性もありますが、そもそも、口座の存在を知らなければ、その利益を遺族が手にすることすらできません。

 

 

眞鍋 淳也

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員
一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士/公認会計士

 

山本 祐紀

株式会社ローツェ・コンサルティング、山本祐紀税理士事務所代表
税理士
一般社団法人社長の終活研究会 理事

 

吉田 泰久

プルデンシャル生命保険株式会社エグゼクティブ・ライフプラニンナー
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)
宅地建物取引士

今すぐ取りかかりたい 最高の終活

今すぐ取りかかりたい 最高の終活

眞鍋 淳也 山本 祐紀 吉田 泰久 

青月社

あなたの死後、残された大切な人たちが困らないように。あなたの尊厳が守られるように。 そのために本書では、これまでの終活関連本では取り上げられることの少なかったテーマをカバーし、トラブルを未然に防ぐためのポイント…

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