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愛人のマンション、海外不動産…「隠れ物件」をどう整理する?

今回は、「隠れ物件」について見ていきます。※本連載は、南青山M’s法律事務所代表・弁護士・公認会計士の眞鍋淳也氏の共著『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社)の中から一部を抜粋し、本人も存在を忘れているなど意図しない場合も含む「隠れ資産」について、その上手な残し方を紹介します。

自分の名義にしたくない「隠れマンション」のケース

今回は、不動産の場合を見てみましょう。

 

ある社長さんは、お金だけを出し、自分の部下に名義だけを借りて、マンションを実質的に所有していました。そのマンションには、愛人とその間にできた子ども(認知済み)を住まわせていたのです(図表、事例①)。名義人の部下が体調を崩したため、マンションの名義を今後どうすればいいのかというのが、相談の内容です。

 

もし名義を貸している部下が亡くなれば、部下の相続人は、お金を一銭も出していないにもかかわらず、マンションの所有権を主張することができます。

 

もしそうなったら、愛人と子どもは安心して住み続けることはできません。「マンションの名義は故人(部下)だけど、お金を出したのは自分(社長)なので名義を返してほしい」と伝えても、裁判を起こして勝たないかぎりは難しいでしょう。

 

その対策として、自分がマンション購入資金を貸したことを証明する金銭消費貸借契約(金消契約)を、部下との間で結んでもらいました。先述のとおり、所得税の実質所有者のルールをはっきりさせておかないと、贈与税の問題も発生します。そのため今回は、口約束ではなく、書面で残したのです。金消契約を結ぶことで、贈与税の問題をクリアにできました。

 

別の社長さんは、自分がお金を出して買ったマンションに、愛人との間に生まれた子どもたちを住まわせていました。このマンションの名義人は愛人です(図表、事例②)。

 

[図表]隠し物件の整理

 

この社長さんもがんを告知されたので、自分の死後のことに関して私に相談してくれました。愛人の住む愛人名義のマンションの存在が、自分の家族との間でトラブルになることが、社長さんの大きな悩みでした。

 

そこで私は、マンションの購入資金を出したのは自分(社長)であるとはっきりさせたうえで、マンションを愛人に生前贈与する手続きをしてもらいました。もちろん、贈与税の負担が生じることは承知の上ですが、何よりも、家族とのトラブルを避けたかったのです。

 

このケースとは逆に、自分の事業が破綻したときに備えて、別人名義の「隠れ物件」にしている経営者の方もいらっしゃることでしょう。名義にしている相手にはそこまで話していなくても、自分の中ではそうしたつもりである場合もあります。事情はさまざまです。

 

隠れマンションを持つ場合、自分の名義にしたくないのであれば、別の個人の名義とするのではなく、法人名義にしておく手段にも一考の余地があります(図表、事例③)。自分が経営している会社とは別法人でもかまいません。

 

その法人の株式をあなたが保有すれば、物件を自分のコントロール下におくことができます。個人名義と異なり、自分や名義人が亡くなったときにトラブルになる心配もありません。

海外不動産は「制度や商習慣の違い」の把握が不可欠

海外に不動産をお持ちの方は、ぜひこの機会に詳しく調べていただくとよいと思います。制度や商慣習の違いを正確に把握しきれておらず、自分の認識と事実が異なっている場合がありえるからです。

 

最近では、フィリピンやベトナムなど成長の著しいアジア各国に、投資用の不動産を購入する方が増えています。「確実に値上がりする、もうかる」と押し切られて購入し、詐欺に遭っている方も多いようですが・・・。

 

これらの投資用不動産は、国によっては所有権ではなく使用権しか売買できないケースもあるので、要注意です。「日本と同じ感覚で所有権だと思い込んで購入したが、よく確かめてみたら使用権しかなかった」といったことがありえます。

 

自分では資産価値があると思って残したのに、いざ相続となったときに「資産価値はゼロ」では、残された人にとってもショックです。専門家に調べてもらうのもひとつの手です。

 

また、海外不動産とは異なりますが、近いものとして、海外の高級ホテルの一室を複数人で分割所有・利用できる「タイムシェア」の権利があります。意外かもしれませんが、タイムシェアの権利は、日本の会員制施設の会員権と同様、相続することが可能です。

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員
一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士/公認会計士

弁護士・公認会計士。南青山M’s法律会計事務所代表。芦屋大学経営教育学部客員教授。
1973年愛媛県生まれ。1995年一橋大学経済学部卒業。2006年成蹊大学にて法務博士号取得。1995年監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入社、上場企業の監査、M&A等に携わる。その後、会計事務所、法律事務所勤務等を経て2009年に南青山M’s法律会計事務所を設立。個人、企業にとって身近な法律問題はもちろん、税務問題、会計問題、それらが絡み合う複雑な問題についても、冷静に問題を分析し、依頼者にとって最も利益となる問題の解決方法を提案、実践している。著書に『ドロ沼相続の出口』『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』(幻冬舎)、『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社、共著)。

著者紹介

株式会社ローツェ・コンサルティング、山本祐紀税理士事務所代表
税理士
一般社団法人社長の終活研究会 理事 

昭和46年、愛知県出身。税理士資格を取得後、税理士法人や大手保険会社での勤務・業務参画を経て、平成19年、ローツェ・コンサルティング、山本祐紀税理士事務所を設立。

著者紹介

プルデンシャル生命保険株式会社エグゼクティブ・ライフプラニンナー
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)
宅地建物取引士 

昭和46年、滋賀県出身。平成6年に丸紅株式会社入社。平成13年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社。平成14年以降15年連続で生保業界の優秀業績資格であるMDRT(Milion Dollar Round Table)会員資格に。

著者紹介

連載あなたしか知らない「隠れ資産」の上手な残し方

 

今すぐ取りかかりたい 最高の終活

今すぐ取りかかりたい 最高の終活

眞鍋 淳也 山本 祐紀 吉田 泰久 

青月社

あなたの死後、残された大切な人たちが困らないように。あなたの尊厳が守られるように。 そのために本書では、これまでの終活関連本では取り上げられることの少なかったテーマをカバーし、トラブルを未然に防ぐためのポイント…

 

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