今回は、「隠れ生命保険」について見ていきます。※本連載は、南青山M’s法律事務所代表・弁護士・公認会計士の眞鍋淳也氏の共著『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社)の中から一部を抜粋し、本人も存在を忘れているなど意図しない場合も含む「隠れ資産」について、その上手な残し方を紹介します。

「相続対策に」と加入した海外の生命保険も…

日本での営業について非免許の外国の生命保険会社との間で結ばれた生命保険の保険金は、2007年の税制改正まで、相続税の対象となりませんでした(みなし財産)。相続財産ではなく、所得税と住民税の対象になる一時所得とされていたのです。一時所得ならば相続税よりも納税額を抑えられるので、節税対策として外国の生命保険に入る富裕層が多くいました。

 

そうした保険で、しかもそれが終身保険であれば、ほったらかしになっていることも容易に考えられますし、ひと昔前に外国の保険のディーラーから「相続対策に」と誘われて加入したといった場合は、その契約自体を忘れてしまっているかもしれません。

 

また、外国の保険に入る際には外国の金融機関に口座を開くので、そこから保険料が引き落とされているはずです。日本の金融機関の口座からは引き落とされていないので、相続人が把握できていない可能性はきわめて高くなります。

 

しかも一時払いの保険であれば、長期の引き落としはされません。まさに「隠れ生命保険」となり、その存在を知ることは困難です。

「申告漏れ」にも注意したい「名義保険」のケース

生命保険の契約者(契約を結んだ人)と保険料を支払っている人が違っている場合はどうでしょうか。例を見てみましょう。

 

「仕事上のつきあいで、生命保険に入ることになった。でも、自分はもう生命保険にじゅうぶん加入しているので、被保険者(保険金の保障対象となる人)を妻、契約者を子どもの名義にして、保険料は自分が支払うようにしよう」

 

この場合、夫が死亡しても、被保険者が死亡したわけではないので、保険契約はそのまま継続されます。

 

ただし、契約者と保険料を実際に負担している人が異なる「名義保険」は、途中解約したときに払い戻されるお金(解約返戻金)に相当する額が相続財産となるため、保険料負担者が亡くなったときには申告が必要になります。

 

生命保険は契約の形態によって課税関係が変わってくるので、うっかりしていると、あとで税務署に申告漏れを指摘される場合もあるので注意が必要です。

 

以前、この種の経緯で加入した生命保険があり、しかも保険料が一時払いならば、その存在を忘れていることも多いので確認が必要です。

 

 

眞鍋 淳也

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員

一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士/公認会計士

今すぐ取りかかりたい 最高の終活

今すぐ取りかかりたい 最高の終活

眞鍋 淳也 山本 祐紀 吉田 泰久 

青月社

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