▲トップへ戻る
「いつか話そう」はダメ!? 生命保険金の受取人に関する留意点

今回は、保険金の受取人に関する注意点について見ていきます。※本連載は、南青山M’s法律事務所代表・弁護士・公認会計士の眞鍋淳也氏の共著『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社)の中から一部を抜粋し、本人も存在を忘れているなど意図しない場合も含む「隠れ資産」について、その上手な残し方を紹介します。

被保険者の死亡時に必要な「受取人による申請」

家族に内緒で生命保険に加入し、受取人に対しその資格があることを隠している場合はどうでしょうか。契約者が勝手に決めたことですから、当然、受取人本人も自分がそうであることを認識できていません。

 

被保険者が亡くなったときは、受取人が保険会社に保険金支払いを請求することで、はじめて保険金が支払われます。原則として、保険会社のほうから受取人に知らせる義務はありません。受取人の権利なので、受取人が請求する必要があるのです。

 

「ある日突然、通帳の残高が増えていた。父の生命保険金だった」などという美談は、現実にはありえないのです。

 

したがって、受取人には「○○社の生命保険に入っていて、あなたが受取人になっている」「もしものときは、あなたから保険会社に請求すること」と話しておかないと、せっかくの保険金を受け取ってもらうことができません。

 

10年ほど前、保険金の不払いが社会問題となりました。その影響で、今日では被保険者の死亡が判明した際、保険会社が受取人の連絡先を調べてくれる場合もあります。ところが、契約書には受取人の住所や電話番号が書かれていないため、実際には受取人までたどり着けないことが多いのが実態です。実例をひとつ、見てみましょう。

 

生命保険に加入の女性が離婚し、受取人を元夫から実の妹に変更しました。離婚後、その女性は都内のマンションで一人暮らしを続け、やがてがんで亡くなりました。

 

女性の死を知った保険会社の担当者は、受取人である妹さんの連絡先を知らないことに気がつきました。知っている連絡先は、女性の住んでいた都内のマンションの住所と電話番号だけです。

 

さて、妹さんの連絡先はどこに聞けばわかるのか?

 

入院先はわかっていたので、まずは病院に「生命保険の保険金を支払う関係でご家族の連絡先を教えてほしい」と事情を説明して尋ねました。

 

ところが、案の定、「個人情報なので教えることはできません」の一点張りです。

 

困り果てた末に、担当者は「生命保険の件で連絡を取りたい」という旨を手紙にしたため、マンションの郵便受けに残していきました。その後、群馬県に住む妹さんが部屋の後片づけに訪れ、無事、連絡をもらうことができました。

 

このように、保険の担当者が機転を利かせて動いてくれることも時にはありますが、基本は受取人本人に認識しておいてもらうべきものだと覚えておいてください。

生命保険の受取人が適切か否を必ずチェックする

もし保険金の受取人が離婚した奥さん(前妻)のままになっていれば、再婚していたとしても、現在の家族は保険金を1円も受け取ることができません。全額が前妻の手に渡ることになります。その前妻が亡くなっていると、今度は前妻の相続人が受取人になってしまいます。

 

生命保険の受取人が適切かどうかは、必ずチェックしておくようにしましょう。夫婦間であればお互いの生命保険についてわかっていますが、子どもとなると、意外なほど情報共有ができていないものです。子どもが小さいうちに加入していた場合などはとくにそうです。

 

最近は、トラブル防止の目的もあり、「家族登録」を勧める保険会社も出てきています。契約者だけでなく、受取人の情報も把握しておこうという姿勢ですが、まだまだ徹底されているとはいえません。住所変更があった場合に届け出を怠ってしまうと、その保険会社が受取人に連絡をとる手段は途絶えてしまいます。

 

やはり、本人どうしの間で伝達を行うのがいちばんです。 「いつか話そう」と思って、そのままになっている保険はないでしょうか?

 

 

 

眞鍋 淳也

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員

一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士/公認会計士

南青山 M’s 法律会計事務所 代表社員
一般社団法人社長の終活研究会 代表理事 弁護士/公認会計士

弁護士・公認会計士。南青山M’s法律会計事務所代表。芦屋大学経営教育学部客員教授。
1973年愛媛県生まれ。1995年一橋大学経済学部卒業。2006年成蹊大学にて法務博士号取得。1995年監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)入社、上場企業の監査、M&A等に携わる。その後、会計事務所、法律事務所勤務等を経て2009年に南青山M’s法律会計事務所を設立。個人、企業にとって身近な法律問題はもちろん、税務問題、会計問題、それらが絡み合う複雑な問題についても、冷静に問題を分析し、依頼者にとって最も利益となる問題の解決方法を提案、実践している。著書に『ドロ沼相続の出口』『老後の財産は「任意後見」で守りなさい』(幻冬舎)、『今すぐ取りかかりたい 最高の終活』(青月社、共著)。

著者紹介

株式会社ローツェ・コンサルティング、山本祐紀税理士事務所代表
税理士
一般社団法人社長の終活研究会 理事 

昭和46年、愛知県出身。税理士資格を取得後、税理士法人や大手保険会社での勤務・業務参画を経て、平成19年、ローツェ・コンサルティング、山本祐紀税理士事務所を設立。

著者紹介

プルデンシャル生命保険株式会社エグゼクティブ・ライフプラニンナー
ファイナンシャルプランナー(日本FP協会認定)
宅地建物取引士 

昭和46年、滋賀県出身。平成6年に丸紅株式会社入社。平成13年にプルデンシャル生命保険株式会社に入社。平成14年以降15年連続で生保業界の優秀業績資格であるMDRT(Milion Dollar Round Table)会員資格に。

著者紹介

連載あなたしか知らない「隠れ資産」の上手な残し方

 

今すぐ取りかかりたい 最高の終活

今すぐ取りかかりたい 最高の終活

眞鍋 淳也 山本 祐紀 吉田 泰久 

青月社

あなたの死後、残された大切な人たちが困らないように。あなたの尊厳が守られるように。 そのために本書では、これまでの終活関連本では取り上げられることの少なかったテーマをカバーし、トラブルを未然に防ぐためのポイント…

 

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧