今回は、筆写のしくじり体験から「優待銘柄選び」のポイントを見ていきます。※本連載は、藤原FP事務所/藤原アセットプランニング合同会社・代表の藤原久敏氏の著書、『現役FPのしくじり体験から学ぶ 月15万円を確実に稼ぐ守りの投資術』(鉄人社)の中から一部を抜粋し、お金の専門家である著者の投資で失敗したしくじり体験から、今後の投資に活かす教訓や対策を見ていきます。

優待目的なら「優待利回り」のチェックは不可欠

前回の続きです。今回は、しくじりポイントを見ていきます。

 

<しくじりポイント>

①この無料券が半年毎に5枚ももらえることに、大いに興奮するのでした。

 

ソフトクリーム無料券が半年毎に5枚、年間で10枚もらえるわけですから、これはたしかに嬉しいものでした。ただ、当時のソフトクリーム価格は180円でしたから、金額にすると2000円足らずの優待です。

 

一方で、購入時のミニストップ株価は2920円、最低100株単位での取引なので、要した金額は約30万円にもなりました。これは、優待利回りにすると、1%にも満たない数字です。

 

ここでのしくじりとは、この優待利回りの視点が、完全に抜け落ちていたことです。

 

優待利回りとは、株主優待の金銭的価値を株価で割ったもので、優待銘柄を吟味するときの、大きな目安となるものです。株主優待を重視して選ぶのなら、最低でも2~3%は欲しいところ。

 

一般に、優待利回りが高い(優待コスパが高い)とされるのは4~5%以上といったところです。探せば、5%を大幅に超えるものも珍しくありません。

 

たとえば、優待が「商品割引券」の場合など、使い方によっては、とんでもない優待利回りになることも。

 

実は先日、『メガネの愛眼』で4万円のメガネを買ったとき、優待券「メガネ30%割引券」を使ったので、なんと1.2万円も安くなりました。この愛眼の株を、私は2万円程度で買っていたので、優待利回りは60%(1.2万円÷2万円)と、驚異的な数字となりました。

 

まぁ、これは特別なケースにしても、優待利回り2~3%はゴロゴロある中で、それが1%にも満たないミニストップはあまりにも、(優待銘柄としての)魅力は薄かったと言わざるをえないのです。

 

もちろん、この優待利回りだけで判断することはできませんが、優待重視で銘柄を選ぶのであれば、必ずチェックすべき数字なのです。一般に、優待銘柄は長期保有するものなので、この数字は、長期運用のパフォーマンスに大きく影響するのですから。

 

もっとも今回は、ITバブル崩壊のあおりで急落し、これが初めての投資だった私は、うろたえてすぐに売ってしまいましたが・・・もし長期保有していたとしても、ミニストップの株主優待で元を取るには100年以上かかってしまいます。これはあまり効率的な投資とはいえませんよね(それに気付いていたなら、買っていなかった可能性大です)。

いくら利回りが高くても、不必要な優待なら「無駄」

そんなしくじりを活かし、今では、この優待利回り(さらには配当利回りを合わせた「優待・配当利回り」)もしっかりチェック、というか、最優先確認事項としております。

 

ただ、あまりにも優待利回りを重視し過ぎると、今度は逆に、この優待利回りの数字に捉われてしまうもの。

 

それはそれで要注意でして、優待利回りが高いからといって、欲しくもない優待(絶対に使わないような優待)をもらっても、意味ないですからね。

 

・・・でも実は、そんなしくじりは、今も、ちょくちょくしております。

 

すなわち、優待利回り(の高さ)に目がくらみ、その優待銘柄を購入してしまい、そして、その(自分にとって必要のない)優待を手にしてから、「ああ、やってしまった」と後悔するのです。

 

ちなみに、いらない優待を手にしたときは、「無理やり使う」か「金券ショップに売る」のどちらかですが、いずれにせよ、ストレスになるものです。お食事券や買物券ならまだしも、フィットネス無料券や映画無料券などを「無理やり使う」場合、時間と労力を費やして、なんとか消化した感でいっぱいでした(すごくストレスです)。

 

受講割引券など、無理やりでも使わないような優待は「金券ショップに売る」のですが、想定をはるかに下回る買取価格に「そんなに安いのかよ!」と憤るのでした(すごくストレスです)。もっとも、使い勝手の良い優待は高値で売れるのですが、そういった優待は自分で使いますからね。

 

優待利回りの高さに心奪われて、必要ない優待を手にしてしまう・・・これは私のクセのようなものでして、その都度、反省はしているのですが、なかなか治らずに困っております(現在、治療中(?)です)。

 

そんな私が言うのも説得力に欠けますが、優待銘柄選びの大前提として、「その優待が、自分に必要なのか」を、まずはしっかり考えましょう。その上で、優待利回りを大きな判断材料にしたいものですね。

 

●まとめ

→優待利回りは最低でも2~3%以上のものを選ぶ

→優待利回りが高いからといって、欲しくもないものをもらっても意味がない

→優待銘柄選びの大前提として、「その優待が自分に必要なのか」を考える

現役FPのしくじり体験から学ぶ 月15万円を確実に稼ぐ 守りの投資術

現役FPのしくじり体験から学ぶ 月15万円を確実に稼ぐ 守りの投資術

藤原 久敏

鉄人社

アベノミクス急騰初動で投資資産を引き上げる、リーマン・ショックで資産半減、IPOでハズレ銘柄を掴む、腕時計投資が元本割れ、FXで大損・・・etc.失敗の中に成功のカギがある。

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