本連載は、藤原FP事務所/藤原アセットプランニング合同会社・代表の藤原久敏氏の著書、『現役FPのしくじり体験から学ぶ 月15万円を確実に稼ぐ守りの投資術』(鉄人社)の中から一部を抜粋し、お金の専門家である著者の「しくじり体験」を通して、守りに重きを置いた投資術をご紹介します。

優待内容に目がくらんで業績チェック等が甘くなり…

株主優待は、企業が株主に対して、感謝の意味も込めて定期的に送る品物のこと。投資がメインの人にとっては粗品のようなものですが、わりと良いものが多く、中にはこれ目当てで株を保有する人も少なくありません。

 

さて、𠮷野家、すかいらーく、ビックカメラ・・・多くの優待銘柄を保有している私は、株主優待ライフを楽しむ一方で、数多くの「しくじり」も経験しております。

 

ヴィレッジヴァンガードコーポレーションやヴィア・ホールディングスなどでは突然の優待改悪、THE グローバル社やイーグランドなどでは突然の優待廃止になるなど、他にも、挙げればキリがありません。

 

いずれも株価は下落、一つ一つの損失は数千円~数万円程度と小さいものの、その「しくじり」数が多いだけに、合計すれば数十万円の損失となりました。他にも、優待内容に目がくらんで、業績や株価などのチェックが甘くなっての失敗もございました。

 

ここでは、そんな優待銘柄での「しくじり」をいくつか紹介できればと思っています。

初投資したミニストップの株がITバブル崩壊で暴落

<しくじり体験>

 

私の初投資は、社会人1年目の1999年、初ボーナスにて。

 

軽い気持ちで、「投資でも始めてみるか」と雑誌を買って、そこで知ったのが「株主優待」でした。

 

これは面白そう、と俄然、株式投資に興味が湧きました。そして目を付けたのが、近所のコンビニ、ミニストップ。

 

昔から、ここのソフトクリームが美味しいと思っており、①この無料券が半年毎に5枚ももらえることに、大いに興奮するのでした。

 

株価は約30万円でしたが、偶然にも初ボーナスと同額だったこともあって、思い切って購入しました。しかし、購入直後にITバブル崩壊、そのあおりもあって、株価は一気に15万円程度まで下落。残念ながら、私の初投資は、大失敗となりました。

「使用枚数制限なし」のお買物券のはずが…

一方、株主優待そのものへの興味・情熱は衰えることはありませんでした。このミニストップという優待銘柄の購入をきっかけに、その後は、優待銘柄を中心に買い進め、今では50銘柄以上保有しております。これだけ優待銘柄を保有していれば、それなりのしくじりもありました。

 

たとえば、ヴィレッジヴァンガードコーポレーション(書籍・CD・雑貨等の複合小売店を展開)の優待は、なんと年間1万円分ものお買物券。

 

私が目を付けたとき、株価は20万円近くでしたが(ちょっと高いかな、と)、これが14万円程度まで下がったタイミングで、「いまだ!」と購入しました。

 

ただ、「上手く買えた」と喜んでいたのも束の間、②購入して数ヵ月後、突然、優待改
悪が発表されたのです。

 

それまでは「使用枚数制限なし」だったのが、「2000円買い上げ毎に1枚(1000円)使用可」となってしまったため、1万円分の金券を使うのに2万円以上の現金が必要という馬鹿らしさ。この影響によって株価が大暴落(そのとき、買値からは少し値上がりして16万円ほどになっていたのですが、一気に12万円ほどに下落・・・)した結果、2万円ほどの損失となりました。

 

𠮷野家・すかいらーく・ビックカメラの株主優待券。 優待マニアの間ではおなじみの、定番優待。
𠮷野家・すかいらーく・ビックカメラの株主優待券。
優待マニアの間ではおなじみの、定番優待。

 

また、ヴィア・ホールディングス(焼き鳥居酒屋等を展開)の優待改悪にも巻き込まれました。

 

前述のヴィレッジヴァンガード同様に、それまでは「使用枚数制限なし」だったのが、「1000円食事毎に1枚(500円)使用可」と制限付きになってしまったのでした。

 

こちらもやはり株価に影響し、それまで12万円ほどだった株価は10万円まで一気に下落、そのあともズルズルと下がり続け、2018年1月時点では8万円を割り込んでおります。

 

私は10万円ほどで、③3単位(300株)買っていたので、6万円以上もの含み損となっています。

 

優待改悪どころか、優待廃止もありました。

 

THEグローバル社やイーグランドなど(いずれもマンション分譲会社)、当時、5~6万円程度の株価で、④クオカードが年間2~3千円分もらえました。これには当然、大いに魅力を感じて購入しましたが、購入後1~2年ほどで、突然の優待廃止。

 

当然ながら株価は下落・・・完全に優待目当てだったので、即、売却です。もっとも、比較的安いところで購入していたので、収支はトントンではありましたが、しかし銘柄選びにかけた手間を考えると、時間と労力については大きなマイナスでした。

 

また、優待銘柄は基本、長期保有ですから、(それを1~2年で売却したことで)ポートフォリオの目算も狂ってしまうわけで、資産運用全体にも大きな影響が出てしまったのでした。

現役FPのしくじり体験から学ぶ 月15万円を確実に稼ぐ 守りの投資術

現役FPのしくじり体験から学ぶ 月15万円を確実に稼ぐ 守りの投資術

藤原 久敏

鉄人社

アベノミクス急騰初動で投資資産を引き上げる、リーマン・ショックで資産半減、IPOでハズレ銘柄を掴む、腕時計投資が元本割れ、FXで大損・・・etc.失敗の中に成功のカギがある。

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