人口が増え続ける東京、価格が安定している中古物件
前回までに述べてきたことを、本連載の冒頭で示した問いかけに沿って整理してみましょう。
①なぜ「地方」ではなく「東京都内」でなければならないのか?
東京は、現在、人口が最も多く、しかも今後も増え続ける。都市圏世界一のGDPであり、再開発プロジェクトも多数。2020年の東京オリンピックがさらなる発展の起爆剤となることも期待され、東京の未来を明るくする材料が目白押し。
②なぜ「新築」よりも「中古」を選ぶべきなのか?
そもそもの購入価格を抑えることができ、物件の質と価格のバランスを考えた場合、中古物件のほうが投資として有利になる。また、収支計画も策定しやすく、賃料も新築に比べて下がりにくい。
③なぜ「一棟アパート」「一棟マンション」ではなく「ワンルームマンション」なのか?
一棟ものの物件はリスクが顕在化したとき、そのダメージを受けやすい。それに対してワンルームマンションの複数所有は資金捻出のための売却や相続など様々なリスクを分散でき、その影響を最小限にとどめることができる。
このような理由から、長期スパンでインカムを得続けようと考えた場合に現在、私が考える最も理想的な不動産投資のあり方は「東京都内の中古ワンルームマンションで運用を行う」ことです。
地方の一棟アパートへの投資は「ハイリスク」!?
あくまでも個人的な意見になりますが、地方の不動産、ことに地方の一棟アパートへの投資はこの上なくリスクが高く、失敗する危険性が非常に高いといえるでしょう。その理由についても触れておきます。
東京とは対照的に地方では人口が減少し続けており、将来的にも回復する見込みはありません。にもかかわらず、昨今の相続税対策をうたった一棟アパート業者の熱心な営業活動が功を奏してなのか、地方の住宅地を中心に一棟アパートの数は急速な勢いで増加し続けています。
なかには「30年間家賃保証します!」という会社もありますが、私は個人的に甘い話とうまい話には裏しかないと思っています。そうした話を聞くと怖すぎますが、皆さんはどうでしょうか?
大切なのは30年間家賃が保証されることではなく、30年以上経ってもしっかりとした入居者が見つかり、家賃を得られることです。また、それを実現できるような、賃貸需要が高くて資産価値のあるエリアの物件を持つことだと私は思っています。
想像してみてください。人がほとんどいないような場所に、ラーメン屋が3店舗、4店舗・・・10店舗、20店舗と増えていく、しかもどのラーメン屋も提供するラーメンの味と価値はほとんど変わらないとしたら――。おそらく、どの店も経営を続けていくのに十分な客数を確保することは難しくなるはずです。
いくら相続税対策といえども、仮に客足の途絶えた先行きのないラーメン屋を相続した人は、その負の遺産を一体どうすればいいのでしょうか。もし相続人が「いらない」と判断して相続放棄をすれば、一体なんのための相続税対策だったかすらわからなくなります。
今、地方で起こっている“アパートの急増現象”はこれとまったく同じです。ライバルが周りにどんどん増えているのに、入居対象者となるはずの人の数はどんどん減っている。このような状況では、借り手がつかないため、家賃を下げざるを得なくなるのは目に見えています。
そして家賃を下げるだけでなく、そもそもの入居がなく、空室続きになってしまう事態にもなりかねません。月々の収支が赤字になり、ローンを抱えている場合には、その返済が行き詰まるおそれもあるでしょう。
そのため、巷でうわさのアパート経営のカリスマ大家さんなど、成功している投資家はすごいと思います。しかしセミプロを超えたプロと、そうでない素人が同じことしても、同じ成功を勝ち取れるかといわれると、それは疑問です。なぜならどこの世界にもカリスマはたった一握りだからです。
あくまでも私が提案するのは、カリスマが行う本業に近い高度な不動産投資ではなく、プロではない本業のある一般の方が、忙しくても成功できる不動産投資です。