税金計算の根拠になる「取引履歴」
仮想通貨の投資には様々なリスクが潜んでいます。リスクを軽んじることで損失を被る可能性もあります。そこで今回は、取引履歴の管理におけるリスクについて解説していきます。
多くのネット証券会社の口座では「特定口座(源泉あり)」という口座を作成できます。取引を通して利益が出た場合、自動的に源泉徴収が行われる口座のことです。
2018年8月現在、仮想通貨取引所には特定口座が存在しません。そのため、仮想通貨取引に関わる納税は取引所を通じて行うことはできず、自ら確定申告を行う必要があります(個人の場合、「雑所得」での申告をすることになっています)。日本円など法定通貨との取引はもちろん、ビットコインとイーサリアムなど、仮想通貨同士の取引に関する利益も課税対象となっています。
そこで重要となってくるのが、仮想通貨取引所の「取引履歴」です。国内外問わず、多くの仮想通貨取引所では、利用者の取引・入出金履歴がダウンロードできるようになっています。仮想通貨への投資を行っている方は、この取引所の履歴をもとに申告を行うわけです。税金計算の根拠となる取引履歴が非常に重要であることは、ご理解いただけるかと思います。
取引履歴がなければ、損失が出ても証明できない
しかしながら、緊急メンテナンスやサーバへの攻撃など様々な要因から、常に取引所のサイトへアクセスできるとは限りません。特に海外取引所の場合、数ヵ月分の履歴しか保存していなかったり、長期間ログインのないアカウント自体を削除したりといったケースもあります。取引履歴がなければ、利益の計算はできません。税金計算を税理士の先生に依頼する場合でも、取引履歴がなければどうしようもないでしょう。
損失が出ているのにそれを証明するものが存在しない場合は、本来より多くの税金を支払うことになってしまうかもしれません。いざ取引履歴をまとめようと思ったときにダウンロードできない、という事態を避けるため、最低でも月に一度は取引履歴を保存しておきましょう。
仮想通貨の保管にウォレットと呼ばれるソフトウェアや端末を利用する方も多いかと思います。資金の流れを正確に追うため、取引所の履歴とあわせてウォレットの入出金履歴も忘れずに保管しておきましょう。
そのほか、エアドロップ(主に仮想通貨の宣伝を目的として、通貨やトークンを無料配布する仕組み)の受け取りや売却、仮想通貨での決済など、仮想通貨に関わるすべての取引履歴をこまめに保管しておくことで、年末年始に慌てることがなくなるのではないでしょうか。
また言うまでもないことですが、納税は国民の義務です。「数十万円程度なら・・・」などという考えは決して持たないよう、くれぐれもご注意ください。
ブロックチェーンの特性上、仮想通貨の取引はすべてが記録され、第三者の閲覧も可能です。考えようによっては、法定通貨のやり取りよりも捕捉が容易ともいえます。申告は忘れず、必ず行いましょう。