今回は、仮想通貨市場における重要指標「ドミナンス」について見ていきます。※本連載では、ブログ『ニルスの暗号通貨日記』を運営するニルス氏に、仮想通貨投資におけるリスク対策やセキュリティについて解説していただく。

仮想通貨市場全体における、特定通貨の占有率

近年話題になり、新たな投資先として注目を集めている「仮想通貨」。今回は、仮想通貨市場における指標のひとつ「ドミナンス」について解説します。

 

ドミナンス(Dominance)とは、優越、支配といった意味を持ちます。仮想通貨市場におけるドミナンスとは、「仮想通貨市場全体における、特定通貨の占有率」のことで、パーセンテージで表します。

 

たとえば、最もよく用いられる「BTCドミナンス」とは「BTC(ビットコイン)が仮想通貨市場全体でどれくらいのシェア率なのか」を示します。仮想通貨市場全体の規模が20兆円、ビットコインの市場規模が10兆円だとしたら、BTCドミナンス=50%となるわけです。

 

ドミナンスはその時点での占有率を表すものですが、これを過去のデータと照らし合わせることで価格推移の予想を立てることができます。

 

たとえば、BTCドミナンスが急激に下がり始めた場合、ビットコイン以外のアルトコインに資金が流れてきている、といった傾向がつかめます。このとき占有率が増加傾向を見せているアルトコインを探すことで、トレードで利益を出すための判断材料とすることができます。

 

また逆に、BTCドミナンスが回復傾向を見せた場合、アルトコインからビットコインへ資金が流れ始める兆候と見ることができます。この場合は、一度アルトコインをビットコインに替えることで、アルトコインの価格下落のダメージを抑え、ビットコイン価格上昇の恩恵を受けることができます。

有用な指標だが、過信は禁物

イーサリアムなど時価総額の大きな通貨のドミナンスを追うことで傾向を掴むことができるかもしれませんが、特に初心者の方は、まずはBTCドミナンスに注目すべきだと思います。

 

ほとんどの仮想通貨取引所において、上場している仮想通貨には「BTCペア」が存在します。「ETH/BTC」「XRP/BTC」という形で、ビットコインは仮想通貨市場において基軸通貨の役割を担っています。言い換えれば、仮想通貨市場における取引の大部分において、ビットコインが介在しているのが現状です。

 

つまり、ビットコインの価格・値動きに大部分のアルトコインの価格が影響を受けるのです。これが、最もBTCドミナンスに注目すべき理由です。

 

仮想通貨市場における大きな流れをつかむため、非常に有用な指標といわれるドミナンスですが、万能なものではありませんので過信は禁物です。

 

たとえば、仮想通貨全体の価格が一度に下落しているようなタイミングでは、下落率の差こそあれ、仮想通貨を持っている時点でダメージは避けられません。この場合は、ドミナンスを見てビットコイン-アルトコイン間で資金を移動させるよりも、法定通貨や別の金融商品へ資産を退避させるほうが損失を抑えることができるでしょう。

 

 

ニルス

サイト制作、WEB広告、画像編集などを含む何でも屋事務員として働くサラリーマン

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